赤木鳩美
赤木鳩美は全ての並行世界に存在する大共通点因子である。
名前のとおり彼女は多くの並行世界で日本人の女性として存在しているが、日本人以外や、第2並行世界の機人族のような魂を持ったロボットが赤木鳩美として存在する並行世界も観測されている。
これは日本人女性の肉体ではなく、鳩美の魂そのものが大共通点因子であるためだ。
また鳩美は多くの場合は物腰が柔らかく、誰に対しても丁寧な言葉遣いで接しているが、あくまで赤木鳩美という存在の基本的性格である。基本的であるのなら、そうでない、粗暴な振る舞いや男のような言葉遣いをする鳩美も存在する。
一方で、どの鳩美も必ず有している性質が二つある。
一つは物覚えの良さである。鳩美は人よりも少ない学習量や訓練寮で知識や技術を習得している。第708並行世界の赤木鳩美に至っては、例外的成長個体と呼ばれる能力を持ち、常人の数百倍の効率で知識や技術を習得できる。
またもう一つの性質は善良性である。温厚な鳩美も粗暴な鳩美も、自らの良心に従って行動するという点では一貫している。
赤木鳩美の善良さは彼女の大共通点因子としての特性の一つだと考えられる。しかし、善良さが赤木鳩美の基本であるのならば、例外も存在するかもしれない。
まだ悪の赤木鳩美が観測されていないだけで、どこかに存在する可能性は否定できない。
●トラベラー
トラベラーは第2並行世界の赤木鳩美で、並行世界調査機関の調査員として活躍している。
彼女は大共通点因子であるため、調査する並行世界では常に、その世界の自分自身と遭遇する可能性を持っている。もし遭遇した場合、調査活動に支障を来すトラブルが発生するため、彼女はいくつかの対抗策を講じている。
基本的に彼女は本名を名乗らず、トラベラーというコードネームを使用している。さらに、認識阻害機能を持つメガネをかけて、周囲の人間が自分の人相を正しく認識しないようにしている。
彼女が生まれたとき、すでに第2並行世界は赤木鳩美が大共通点因子であることを知っていた。並行世界調査機関は彼女の生活を密かに監視していた。
他の並行世界の赤木鳩美はしばしば戦闘員として非凡な資質を発揮する場合があり、第2並行世界の彼女もそれと同じであった。
そこで並行世界調査機関は彼女を調査員として育成すると決定した。
第2並行世界の鳩美がトラベラーとして最初に任務を受けたのは14歳のときで、当時としては史上最年少の調査員だった。このとき、彼女は現地で使用されている技術を回収し、任務を成功させている。
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