第一章玻璃の瞳の少女

1-1-1『事の発端』

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 ワタシは酷く狼狽えていた。

 と言うのも、身体中の痛みに目を覚ますと、何故か視界が半分程度しかない。


 その半分程度の視界で辺りを見回そうとするも、まだ頭が覚醒しきっていないらしい。

 だがハッキリと全身に激痛と言っても良い痛みがあった。


 意識が覚醒して行く程に、痛みが増して行く。

 そして、今にも飛び上がりそうになったが、身体が言う事を聞かない。


 全くもって状況が、理解出来ない。

 ボヤけていた視界が鮮明になって来ると、ワタクシは見慣れたキャノピーベッドの赤い生地に金色コンジキの複雑な模様が施された天鵞絨ベルベットの天蓋の豪奢な刺繍をボーッと眺める。


 嗚呼、ワタシは"再び"冥土の門をくぐるのか。てか冥土の門って厨二病かよ。


 ん? 再び?


 そう嘆息してから、何故か違和感を覚える。


 そもそも、普通、現実世界ではお目にかかれない。と言うか、実物を見た事すら無い、この様な超高級そうな天蓋付きのベッドから見る光景を、何故、ワタシは"見慣れている"と感じたのだろうか?


 いや、暫し待て。


 そもそもワタシは誰なんだ?


 何処にでも居るような、二十一歳の女子大生のはず……。


 いえ、そもそも女子大生って何のかしら? それにワタクシは今年の誕生日で十歳なのよ?


 ん? どう言う事?


 あーダメだ。身体中が痛くて、意識遠くなって来た。まともに考えれない。


 もうひと寝入りしよう。そうしよう。うん。

 何方にせよ、二度と目が覚めなかったらそう言う事なんだろうし。


 そうして、ワタシは再び、意識を放り出した。

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