プロローグ
『とある夜会にて』
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「フラヴィア王国王太子。レオン・アルバン・サンダリオ・ドュ・ヴェルマンドワ=フラヴィイエンが此処に宣言しよう。エスメラルダ・レーシウス!! 貴様との婚約をこの場を持って破棄を宣言する!! そして新たにウルシーノ伯爵令嬢ニーナとの婚約を宣言する!!」
幸せ一杯と言わんばかりに満面の笑みを浮かべた、泥棒猫……。失礼。ウルシーノ伯爵令嬢を抱き寄せ、壇上からそう声を張り上げ、勝ち誇った表情を浮かべている、この国の王子に対して、この日の夜会に集まった貴族諸侯やその子弟、令嬢達は一瞬の静寂に包まれた後に、ザワザワと堰を切った様に、騒然とし始める。
視線の中心に居るのは、レオン王子やウルシーノ伯爵令嬢では無く、婚約を破棄された令嬢、西の大陸の大国の王女、エスメラルダ王女。
私は、目の前で繰り広げられる三文芝居に、遂にこの時が来たかと思うと同時に、淑女らしく口元を扇子で隠しながら、ついつい込み上げてくる笑いを堪えるのに必死になる。
物語のシナリオ通りなら、此処で王子が婚約者である悪役令嬢ポジションの彼女に婚約破棄と国外追放を言い渡し、王子とヒロインは正式に結ばれて、ハッピーエンドを迎える。
果たして、本当にそうなるのだろうか?
では、歴史を数ページ遡ってみましょう。
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