第105話 成果
2030年8月14日
みんなより早く起きた俺はいつものように湧き部屋で狩りをしていた。
今日は4層にアタックするのでMPを節約して雷鳴剣と
リスター帝国学校に帰ったらライナーに教えてもらうつもりだ。
いつものようにみんなの起床時間の前に戻り風呂に入って朝飯の準備をする。
「マルスおはよう」
まずクラリスが起きてきた。
「私も歯を磨いたら朝ごはんのしたく手伝うから待っててね」
クラリスは歯を磨き終わると一緒に朝ごはんの手伝いをしてくれる。
俺は家事、洗濯、料理などは女性の仕事だとは思わない。もちろん男性の仕事だとも思わない。
気づいたほうがやればいいと思うのだ。
まぁそうすると早く起きてしまう俺の仕事になるのだが……
だが辛い家事でも好きな人と一緒にやると楽しく感じる。
「マルス、これ味見してみて」
クラリスが作ったスープを試食する。
これはさっきクラリスが試食していたスプーンだ。
か、間接キス……お、美味しい。
い、いかんいかん……
「うん! 美味いよ!」
俺がそう言うとクラリスは満足そうだ。
そしてカレンが起きてきて、大分経ってからエリーとミーシャが起きてきた。
エリーとミーシャの朝が弱いのは治らないらしい。
ちょっと遅い朝食を摂り、俺たちは4層への出発の準備をした。
荷物は携帯食くらいしか持たない。
「よし! 準備は出来たな! 今日は4層だ! 油断するなよ!」
俺がそう言って檄を飛ばすとみんな顔を引き締めて頷いた。
ちなみに隊列を少し変えた。
エリー、ミーシャ、カレン、クラリス。俺という順番にした。
細かく言うとエリーが左前衛、その少し後にミーシャが右前衛。中間に左からカレンとクラリスを配置して、俺が最後尾と言う形だ。
カレンの鞭は遠距離では届かないので少し前に出したのだ。
そしてカレンが危ないときはクラリスの結界魔法ですぐに対応する形にした。
カレン自身はまだクラリスが結界魔法を使えることは知らない、というか結界魔法そのものを知らないと思う。
オークジェネラル、コボルトキングの湧き部屋をそれぞれ通過して、俺たちは4層へと降り立った。
4層に降りるといきなり大きな扉が目の前に立ちはだかった。
「これってボス部屋……よね?」
クラリスがそう言うと、エリーが
「……多分……行く?……」
エリーが俺を見てそう言うと俺は
「ああ。俺が扉を開けよう」
と言ってボス部屋の扉を開けた。
部屋はとても広かった。300m四方はある。
部屋の中心には祭壇らしきものがあった。
そして部屋の中には1匹の魔獣と2体のオークがいた。
【名前】-
【称号】-
【種族】オークキング
【脅威】B-
【状態】良好
【年齢】1歳
【レベル】5
【HP】108/108
【MP】15/15
【筋力】42
【敏捷】12
【魔力】5
【器用】6
【耐久】55
【運】1
【特殊能力】槍術(Lv3/D)
【特殊能力】HP回復促進(Lv3/F)
【特殊能力】魔物召喚(Lv1/G)
魔物召喚は恐らく下位のオークを召喚するのであろう。
今までの傾向からするとオークロードとかいうのが出てきそうだ。
オークキング自体は全く問題が無さそうだ。
同じB-であれば間違いなく
というかこれでB-か……オーク系は弱くて一番経験値稼ぎに向いているな。
だがもう一匹の魔獣が大問題だった。
【名前】-
【称号】-
【種族】キマイラ
【脅威】B+
【状態】良好
【年齢】1歳
【レベル】5
【HP】154/154
【MP】88/88
【筋力】70
【敏捷】72
【魔力】48
【器用】20
【耐久】38
【運】1
【特殊能力】火魔法(Lv7/C)
【特殊能力】魔物召喚(Lv3/F)
俺が思っているキマイラそのものの風貌だった。
ライオンの頭と山羊の胴体、尻尾はいかにも毒を持っていますという蛇だ。
「そ、そんな……勝てるわけないじゃない……」
カレンがそう言いながら震えだす。
ミーシャもその様子を見て怖がっているようだ。
一方のクラリスとエリーは俺の様子を窺っている。
俺は2人に大丈夫という顔をして
「クラリス、エリー、カレン、ミーシャはオークキングをやってくれ! おそらく下位のオークを召喚してくると思うが、敏捷値が低いからそんなに苦戦はしないと思う。なるべくキマイラから離れるように戦ってくれ! 俺がキマイラを倒す!ステータスはキマイラのほうが高いが負ける要素はない!」
正直絶対に勝てるかと言われれば勝てない。
だがカレンとミーシャを安心させるために敢えてこう言った。
そして俺たちには悠長に会話をしている時間なんてなかった。
キマイラが俺たちに向かって走り出してきたのだ。
キマイラの後ろにはいつの間にか召喚をしていた2体の魔獣がいた。
【名前】-
【称号】-
【種族】ダイアウルフ
【脅威】C+
【状態】良好
【年齢】1歳
【レベル】5
【HP】45/45
【MP】15/15
【筋力】30
【敏捷】45
【魔力】12
【器用】5
【耐久】32
【運】1
【特殊能力】土魔法(Lv2/G)
やばい……普通に強い……これだったらオークキングのほうが弱く感じる。
でもそんなことを言ってはいられない。
俺はキマイラをひきつけながらみんながいない部屋の隅の方に向かう。
当然俺はもう
まずダイアウルフ2体が俺に突撃してくる。
キマイラは俺の隙を窺っているようだ。
俺は雷鳴剣に雷魔法を
え!?なんだこれ……剣術レベル9に
俺は次々に召喚されてくるダイアウルフを狩りまくる。
ダイアウルフはもうただの経験値と化している。
キマイラも知力が低いのか臆病なのかずっとダイアウルフを召喚しているだけのようだ。
あっという間にキマイラのMPが底をついた。
俺はもう
俺はキマイラ相手に修行をしようと思ったのだ。
ステータス差がかなりあっても、剣術スキルのレベルが高いとステータスの差を埋めることができる。ライナーから教えてもらったことだ。
もちろんクラリスたちがピンチだったらこんな事はしないが。
クラリスたちは俺がダイアウルフをバターのように簡単に切り刻んでいるのを見ると安心していた。
「さすが、マルスね。あの魔獣も弱くはないでしょうに……」
「弱くはないなんてレベルでは無いわよ! ミーシャと同じくらいのステータス値よ!」
カレンが大声で言うとミーシャが
「マルスに全力を出されたら私もあんなになるってことね……」
この言葉にエリーが
「……まだ……全力じゃない……本気かもしれないけど……全力出すと光る……」
エリーの言葉にカレンとミーシャは絶句した。
「さぁマルスばかり見ていないで私たちもやるわよ! こっちもオークとは言え油断はできない相手よ! どんどん召喚してくるからみんな気を付けてね!」
オークキングはやはりオークロードを召喚してきた。
ただオークロードは魔物召喚の特殊能力を持っていない。
つまり常にオークキング2体とオークロード4体を同時に相手にするだけでいいのだ。
次々にオークロードが召喚されるが、召喚されるたびにクラリスとカレンの中、遠距離攻撃を食らった後にエリーとミーシャの攻撃で死んでいく。
クラリスたちも全く危なげなくオークたちを倒せていた。
これに一番驚いていたのはカレンだった。
カレンは魔物のステータスが分かるため、こんなに簡単に倒せるわけないと思っていた。
クラリスとエリーも規格外の強さだと改めて思い知ったのだ。
「あんた達も十分に化け物クラスね……私もかなり強くなった気ではいたけれども……」
結局クラリスたちも危なげなくオークキングを倒した。
俺もそれに合わせてキマイラを仕留めにかかる。
ただ
結局は俺もキマイラを終始圧倒して倒しきった。
「みんな無事か?」
俺が女性陣に聞くとみんな頷いてカレンが
「この1週間で嫌って程マルスとクラリス、エリーの強さが分かったわ。特にこのボス部屋での戦闘でそれを分からされたわ。私もミーシャと同じように頑張ってあなた達の横で戦えるように精進する!」
「うん! 私と一緒に頑張ろうね!」
ミーシャが嬉しそうにカレンに対して相槌を打つ。
「さて、どうやらご褒美が出たからお目にかかろうではないか」
部屋の中央の祭壇には宝箱が2つ出現していた。
今までは価値3の宝箱だったが、今回は価値4の宝箱が1つ出現した。
価値4の宝箱からはクラリスが装備している価値がAの
まずはいつもの価値3の宝箱を開けると
【名前】
【特殊】魔力+2
【価値】C
【詳細】火魔法を宿した腕輪。火魔法詠唱時消費MPを1軽減、発現時間を微短縮。
あ、これはアイクに上げたものだ。
当然カレンに渡すとカレンが嬉しそうにありがとうと言って俺の頬にキスをしてくれた。
美女のキスはいつでも嬉しいものだ。
そしてメインの価値4の宝箱を開ける。
出来れば、俺かエリーかミーシャの防具が欲しい。
そう祈りを込めて宝箱を開けると……
【名前】
【防御】24
【特殊】筋力+1 敏捷+2 魔力+2
【価値】A
【詳細】装備者のHP自動回復。状態異常耐性UP。火魔法耐性UP。
これは超大当たりではないだろうか? エリーに装備の効果を伝えて渡す。
するとエリーは大喜びして俺に抱き着いて頬にキスをしてくれた。
同時に俺の腕に二つの柔らかい感触が伝わる。
あれ? これを装備したら今後このご褒美の効果が半減されてしまうのか?
「よし、残り3日間ボス部屋を中心に最後のレベル上げを頑張ろう!」
そして4日後……俺たちはダンジョンコアを破壊し、大量の戦利品を手にダンジョンの外に出た。
ダンジョンコアというのはボス部屋にある小さなコアでこれを壊すと迷宮としての機能が無くなり、魔物が出てこなくなるらしい。
リスター帝国学校の座学で習った時には驚いた。
俺としてはこの迷宮は残しておきたかったのだが、メサリウス伯爵は出来ればこの迷宮を潰したいという事を義姉から聞いていたので、仕方なく壊した。
領都メサリウスから離れた場所にあるから管理がしづらいのが大きな要因であろう。
新たに迷宮都市を作るのにもそれなりの人員が必要だ。
今はバルクス王国から攻められているから迷宮なんかに構っていられないというのも理由の一つだろう。
「それにしてもメサリウス伯爵領へ来て大正解だったね! みんな見違えるほど強くなったよね!」
ミーシャがそういうとカレンが
「そうね。これで私とミーシャも少しはマルスたちに近づけたわね。まだまだ差はあるけどどのくらいの実力差があるかだけでも認識できたのはすごい収穫だったわ。私に至っては新たな力を手に入れたし」
俺はみんなの頑張りの成果を改めて見てみた。
【名前】マルス・ブライアント
【称号】雷神/風王/聖者/ゴブリン虐殺者
【身分】人族・ブライアント伯爵家次男
【状態】良好
【年齢】10歳
【レベル】27
【HP】70/70
【MP】7848/7848
【筋力】67
【敏捷】67
【魔力】85
【器用】65
【耐久】59
【運】30
【固有能力】天賦(LvMAX)
【固有能力】天眼(Lv9)
【固有能力】雷魔法(Lv8/S)
【特殊能力】剣術(Lv9/A)
【特殊能力】火魔法(Lv3/E)
【特殊能力】水魔法(Lv2/G)
【特殊能力】土魔法(Lv4/D)
【特殊能力】風魔法(Lv9/A)
【特殊能力】神聖魔法(Lv7/B)
【装備】雷鳴剣
【装備】
【装備】偽装の腕輪
この迷宮に入って1番の収穫はやはり俺にしてはレベルが爆上がりしたという事だろう。
スキルレベルも上がっているし【聖者】の称号も得た。
充実した2週間だった。
【名前】クラリス・ランパード
【称号】聖女
【身分】人族・ランパード子爵家長女
【状態】良好
【年齢】10歳
【レベル】34
【HP】69/69
【MP】1435/1435
【筋力】51
【敏捷】50
【魔力】59
【器用】59
【耐久】47
【運】20
【固有能力】結界魔法(Lv4/A)
【特殊能力】剣術(Lv5/C)
【特殊能力】弓術Lv8/B)
【特殊能力】水魔法(Lv3/F)
【特殊能力】風魔法(Lv3/F)
【特殊能力】神聖魔法(Lv7/A)
【装備】ディフェンダー
【装備】
【装備】
【装備】
【装備】偽装の腕輪
クラリスには正式に【黎明】のサブリーダーになってもらった。
あともう少しでステータスがオール50を超える。
ちなみに今回の迷宮探索で装備が変わらなかったのは俺とクラリスだけだ。
クラリスに関しては、もうアクセサリー系しか必要ない気がするが……
【名前】エリー・レオ
【称号】-
【身分】獣人族(獅子族)・レオ準女爵家当主
【状態】良好
【年齢】10歳
【レベル】30
【HP】81/81
【MP】61/61
【筋力】60
【敏捷】74
【魔力】17
【器用】18
【耐久】50
【運】10
【固有能力】音魔法(Lv1/C)
【特殊能力】体術(Lv6/B)
【特殊能力】短剣術(Lv7/C)
【特殊能力】風魔法(Lv2/G)
【装備】ミスリル銀の短剣
【装備】
【装備】
【装備】風のマント
【装備】風のブーツ
エリーは何と言っても
これで安心して前衛を任せることが出来る。
あとはいい武器があればエリーに装備させたい。
【名前】カレン・リオネル
【称号】-
【身分】人族・フレスバルド公爵家次女
【状態】良好
【年齢】10歳
【レベル】32
【HP】37/37
【MP】400/400
【筋力】23
【敏捷】24
【魔力】60
【器用】26
【耐久】17
【運】1
【特殊能力】魔眼(LvMAX)
【特殊能力】鞭術(Lv3/B)
【特殊能力】火魔法(Lv7/B)
【装備】
【装備】炎の鞭
【装備】
【装備】
ミーシャと同じくらい成長したのはカレンだ。ミーシャ以上と言っていいかもしれない。鞭を握るその姿はまさに女王様だ。
【名前】ミーシャ・フェブラント
【称号】-
【身分】
【状態】良好
【年齢】10歳
【レベル】27
【HP】45/45
【MP】143/143
【筋力】39
【敏捷】48
【魔力】39
【器用】40
【耐久】22
【運】5
【特殊能力】槍術(Lv7/B)
【特殊能力】水魔法(Lv3/C)
【特殊能力】風魔法(Lv5/D)
【装備】
【装備】幻影の小盾
【装備】幻影のローブ
ミーシャはレベルも一番上がり、見違えるほど強くなった。
バロンよりも強くなっているだろう。
ボス部屋で幻影の小盾が手に入り、ミーシャに装備してもらう事にした。
言わなくても分かると思うが、お礼は俺の頬にしてもらった。
【名前】幻影の小盾
【防御】8
【特殊】敏捷+2
【価値】B-
【詳細】装備者の気配を察知しづらくなる。
ただでさえ小さく線の細いミーシャの気配が察知しづらくなるのは敵としては厄介だろう。
ガスターが装備していた幻影の靴が手に入ればますます察知しづらくなるだろう。
こうして俺たちは意気揚々とメサリウスへ戻るのであった。
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