第73話 新入生闘技大会へ向けて
2030年1月11日
今日は新入生全員でホールに集められて集会を行った。
集会の主な議題はSクラスのメンバーと序列の発表だ。
俺たちSクラス8人はおそろいのローブを着て壇上に上がって椅子に腰かける。
この学校は制服がローブとなっている。ローブの他にもしっかりと制服があるのだが、一番目立ち、特徴的なのがローブなのだ。
基本色は白なのだが、ローブの刺繍の色がクラスによって違う。
Aクラスは紫
Bクラスは蒼
Cクラスは緑
Dクラスは黒
Eクラスは刺繍なし
そしてSクラスはというとSクラスで決めていいとの事で、俺たちは金色の刺繍が入った白いローブを着ている。
これはエリーが俺のカラーは金だから金しか認めないと言い出したせいだ。
ちなみにアイクたち4年生のSクラスのローブの刺繍の色は濃い赤だ。
ちなみにローブの下は男は白っぽいスーツを着崩したようなもので女は白っぽい可愛らしい感じの服にスカートだ。やっぱり人気校は制服にもこだわらないとね。
「えーリスター帝国学校に入った新入生諸君。私がSクラス担当で学年主任のローレンツだ。今日は我がリスター帝国学校のSクラスの序列の発表をする。Sクラスはこの学校の顔だ。絶対に全員の顔と名前を覚えるように! また2人が諸事情のために、まだいないが、その2人は9位と10位になってもらう」
「まずは序列8位ヨーゼフ・ヴァーリ! 前へ」
ヨーゼフが前に出ると拍手が沸き起こった。
「次! 序列7位ミーシャ・フェブラント! 前へ」
ミーシャが前に出ると拍手と同時にざわざわし始めた。
やっぱ
「次! 序列6位ドミニク・アウグス! 前へ」
新入生たちがあれって剣聖だよな? 序列6位って低くない? と更にざわつき始めた。
「次! 序列5位カレン・リオネル! 前へ」
拍手の中に可愛いじゃんとか言ってるやつがいる。
「次! 序列4位バロン・ラインハルト! 前へ」
おいおい北の勇者様より上の奴なんている訳がない。これは明らかにおかしい。そう言っている奴らが多数いた。恐らく全員リスター連合国の者であろう。
「静粛に! この順位は正式な決闘によって決まったことだ! 不満があるなら後で本人にでも聞け!」
ローレンツが騒がしくなった新入生たちに向かって怒鳴った。
「次! 序列3位エリー・レオ! 前へ」
エリーが前に出るとすげーかわいいとか、おっぱいがでけぇとかいう奴らがいた。
まぁエリーは年の割にはかなりでかくなったな。
「次! 序列2位クラリス・ランパード! 前へ」
クラリスが前に出ると、予想通り野郎連中が狂喜乱舞した。
飢えた野獣のようにクラリスを嘗め回して見ているのが分かる。
「最後! 序列1位マルス・ブライアント! 前へ」
俺が立ち上がって前に出ると、予想外のことが起きた。
新入生の女生徒たちが急に黄色い声を出して、マルス様かっこいいとか、中には抱いてとか言っている女の子もいた。
うん。悪い気はしない。むしろ女の子からの声援って嬉しいと思っていると、クラリスとエリーからの視線が……ごめんなさい。
最後にSクラスの1人1人が簡単に挨拶をしてSクラスお披露目集会が終わった。
何故こんなことをするかというと毎年2月に学校対抗の新入生闘技大会が行われるから顔見せは必要との事でお披露目集会を開いたというのだ。
新入生闘技大会は武術部門(前衛)と魔法部門(後衛)で分かれており、それぞれ5人ずつ選出して対戦する。
前衛というのは30mの範囲内で戦う。遠距離武器、魔法も使っていいが近い位置での戦闘の為、近接武器が圧倒的に有利となる。
それに対して後衛は50m以上離れたところからしか攻撃が出来ない。
要はこの大会を通じてパーティ編成をしてはどうかという事である。
優秀な前衛には優秀な後衛をという事だ。
また入学してすぐに開催することで、1つの事に向かってみんなで纏まれるから、この時期にやるというのもあるらしい。
ちなみにここ数年、リスター帝国学校は武術の部2位で終わっているらしい。
集会から教室に帰る途中でカレンが
「今年の闘技大会ってどうなるんだろうね。うちは序列1位から4位まではみんな脳筋の前衛でしょ? 魔法部門かなりまずくない?」
と軽い感じで聞いてくる。もうすでにカレンは俺たちを仲間と認めてくれているようでかなりフレンドリーな言葉遣いとなっている。
「クラリスは後衛職だから、後衛で出てもらえばいいんじゃない?」
俺がそう言うとカレンが
「バロンに勝てる人が後衛職な訳ないじゃん!? 噓でしょ!?」
驚きながら言うと、クラリスが
「本当よ。私はマルスに剣を教えてもらったから剣術がうまくなったけど本当は弓使いなの」
「そ、そんな……それじゃあこの学校の剣術の先生はマルスがやればいいのに……ちょうどキュルスが全然来ていないんだしさぁ」
そうキュルスが最近全然顔を見せないのである。最後に会ったのは……リーガン公爵の所に一緒に行ったときだったと思う。
「……マルスの先生賛成。私の専属……」
エリーがそう言うとミーシャも
「私も……マルスに手取り足取り教えてもらうもん」
まぁ剣術に足捌きは重要だからいいんだが、誤解を招く発言だぞ……するとカレンも
「じゃあ私も教えてもらおう。いいわね」
ちょっと可愛らしく言うと、クラリスが
「えと、ちゃんと先生に教えてもらおう。先生にも立場っていうものがあるんだし……」
俺たちが教室に戻るとそこにはローレンツとサーシャ、そしてアイクが居た。
ローレンツが俺たちに席に座る様に促すと
「みんなに報告がある。武術指導担当のキュルスが姿をくらましてな。代わりに適任者がいなくて困っていたところ、アイクが手を挙げてくれてな。お前たちの武術をキュルスの代わりに見てもらう事となった。魔法指導は予定通りサーシャだ。明日から来月の新入生闘技大会の訓練を始めるからそのつもりで。前衛か後衛かはやっていくうちに決めるからな」
まぁ俺は当然前衛だろう。魔法は使えない設定になっているからね。
そして10歳になったことでステータスが上がっていた。
【名前】マルス・ブライアント
【称号】雷神/風王/ゴブリン虐殺者
【身分】人族・ブライアント伯爵家次男
【状態】良好
【年齢】10歳
【レベル】20
【HP】55/55
【MP】7502/7502
【筋力】52
【敏捷】54
【魔力】70
【器用】52
【耐久】49
【運】30
【固有能力】天賦(LvMAX)
【固有能力】天眼(Lv9)
【固有能力】雷魔法(Lv6/S)
【特殊能力】剣術(Lv8/A)
【特殊能力】火魔法(Lv3/E)
【特殊能力】水魔法(Lv2/G)
【特殊能力】土魔法(Lv3/E)
【特殊能力】風魔法(Lv9/A)
【特殊能力】神聖魔法(Lv5/B)
【装備】
【装備】偽装の腕輪
やはり体が出来てきたのであろう。
HPと筋力、敏捷、耐久の4つが大幅に上がっている。
クラリスはというと
【名前】クラリス・ランパード
【称号】聖女
【身分】人族・ランパード子爵家長女
【状態】良好
【年齢】10歳
【レベル】25
【HP】53/53
【MP】1212/1212
【筋力】39
【敏捷】39
【魔力】44
【器用】43
【耐久】37
【運】20
【固有能力】結界魔法(Lv4/A)
【特殊能力】剣術(Lv5/C)
【特殊能力】弓術(Lv7/B)
【特殊能力】水魔法(Lv2/F)
【特殊能力】風魔法(Lv1/G)
【特殊能力】神聖魔法(Lv6/A)
【装備】ディフェンダー
【装備】
【装備】
【装備】
【装備】偽装の腕輪
ステータスの中で魔力が一番になっていた。
また風魔法も使えるようになっている。
まぁ風魔法は絶対に覚えると思っていた。
少し遅いくらいかもしれない。なぜなら
【名前】
【攻撃】-
【特殊】魔力+1
【価値】B+
【詳細】魔力で作った矢を放てる弓。様々な属性の矢を放てる。弓自体には風魔法が
エリーが風魔法を覚えた時に絶対にクラリスも覚えると思っていたのだ。
そしてこの学校の番長はというと
【名前】アイク・ブライアント
【称号】-
【身分】人族・ブライアント伯爵家嫡男
【状態】良好
【年齢】13歳
【レベル】24
【HP】74/74
【MP】1022/1022
【筋力】55
【敏捷】48
【魔力】30
【器用】30
【耐久】50
【運】10
【特殊能力】剣術(Lv5/C)
【特殊能力】槍術(Lv8/B)
【特殊能力】火魔法(Lv6/C)
【特殊能力】風魔法(Lv1/G)
【装備】
【装備】
【装備】
【装備】偽装の腕輪
【装備】守護の指輪
1月15日が誕生日なアイクはもうすでに13歳だ。
アイクも風魔法を覚えていた。
ただやはり最大MPの上昇率が悪い……10歳を超えると上がりにくくなるのかもしれない……ただ槍術、剣術、火魔法とすべてのレベルが上がっていた。
あと装備に見慣れない物があった。
【名前】守護の指輪
【特殊】-
【価値】C
【詳細】状態異常耐性UP
これが魔眼対策という事だろう。
俺たちは新入生闘技大会の為に訓練を始めた。
前衛は教官がアイクで生徒が
マルス
エリー
ドミニク
ミーシャ
後衛は教官がサーシャで生徒が
クラリス
バロン
カレン
ヨーゼフ
となった。
もしかしたらバロンとミーシャは逆になるかもしれない。
またしっかりとした適性を見るために前衛と後衛のローテーションもすることにした。
前衛は一番伸びしろがありそうなミーシャをアイクが徹底的に鍛える。
お互い槍使いだから教えがいあるだろう。
実際ミーシャの成長は目を見張るものがあった。
俺はエリーとドミニクを相手に1対2で訓練をすることが多かった。
後衛はというとクラリスがひたすら水魔法と風魔法の練習、そして弓使いのサーシャから弓を相当仕込まれて、だいぶ満足のいく結果となったらしい。
バロンは万能で前衛職と後衛職のどちらもこなしていたが、クラリスが前衛に行くとバロンも前衛、クラリスが後衛に行くとバロンも後衛とひたすらクラリスをストーキングしていた。
クラリスに陰で気持ち悪いと言われていたことはここだけの秘密だ。
カレンとヨーゼフはお互い研鑽しあってよい相乗効果が出ている。
ちなみにヨーゼフのステータスはこんな感じだ。
【名前】ヨーゼフ・ヴァーリ
【称号】-
【身分】人族・平民
【状態】良好
【年齢】9歳
【レベル】16
【HP】26/26
【MP】52/52
【筋力】18
【敏捷】19
【魔力】30
【器用】28
【耐久】14
【運】1
【特殊能力】火魔法(Lv3/D)
【特殊能力】水魔法(Lv3/C)
【特殊能力】土魔法(Lv3/C)
【装備】封印の杖
完全魔法使いだ。
MPが低いが水魔法と土魔法の才能がCとかなり強い。
俺たち以外にも訓練をしている者がいる。担任のローレンツだ。
ローレンツは俺に教えられたり、カレンに教えたり……まぁこういう先生がいてもいいよな。
「ローレンツ先生、質問していいですか?」
訓練中に俺がローレンツに聞くとローレンツが「いいぞ」と答えた。
「前衛も後衛もあと1人ずつ足りないではないですか?どうするんですか?」
「あぁ。本当はイセリア大陸からの魔族の子達に頼もうと思ったのだが……どうやら来られなくなりそうでな……今Aクラスから選抜しているところだよ。それなりに強いのが来ると思うから心配しなくていいと思うぞ」
そして早くも1か月が過ぎ2月の新入生闘技大会を迎えようとしていた。
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