アダ討つ機械


「でっかいチンチンが欲しい!」


「死ね」


屋上にて、アダが叫んだ。狂はそれを聞くと、即座にその頭を吹き飛ばした。だが吹っ飛ばした後、すぐにアダの首は生えてきた。この男は実は機械なのだ。それも人間を効率よく殺せるように改造された、殺戮兵器と呼ばれる物質。


「いいじゃんこんなこと言ったって!俺そもそも無いんだから!」


「うるせぇ!大声でこんな下らん事言うんじゃねぇ!」


狂はアダと出会い、なんだかんだ親友であり悪友と言う関係に落ち着いている。そんなアダは、心底暇そうに屋上のフェンスによりかかり、そのまま普通にずり落ちる。


「ヤッベあーっ!」


「……」


「復活!」


そして何事もなかったように復活するアダ。もはや狂はこの状況にツッコむこともしなかった。見慣れた状況であるからだ。


「ハァ。おい流石に帰るぞアダ」


「だねー。授業も終わったでしょ流石に」


二人は授業のサボり魔であった。一応最低限授業には出ているが、それ以外には一切授業に出ない、問題児である。そして二人は散々休んだ後、一応授業に出る事にした。


「おや、何やら教室が騒がしいっすね」


「だな。何があったんだ?」


授業に来た二人だが、何やら教室が騒がしい。何があったのかと、とりあえず近くにいた奴に話を聞いてみる事にした。


「おいなんだこの人だかりは」


「あっ狂さん。実はですね、ちょっとなんかめちゃくちゃ強い蜂が教室に入ってきてですね」


「メチャクチャ強い蜂?何それ?」


要領を得ない発言に、とにかく教室を覗いてみる事にした二人。その中では通常サイズの蜂が机を凹ませたりガラスを破壊したりと、メチャクチャやりたい放題であった。


「ワァ、メチャクチャ強い蜂」


「まさか本当にいたのかメチャクチャ強い蜂」


狂も噂には聞いていたが、本当にいるとは思っていなかった。とにかくメチャクチャ強い蜂がいると言う噂である。恐らくオス蜂だろうと言う情報しかなかった。


「どうするんだよこれ」


「よーしちょっと行ってくるぜ!」


そうアダが言うと、蜂はアダを標的に動き始める。一応殺戮兵器であるアダは、体中から武器を出すとその蜂の狙撃を始めた。


「負けちゃった」


「お前……」


負けた。


「普通に無理があるだろ、あの小ささを銃で撃つのは」


「そうだね……。じゃぁよろしく」


今度は狂が相手になる。蜂は相変わらずぶんしゃかぶんしゃか飛んでいる。壁は凹み、黒板は真っ二つに割れ、もう凄まじい暴れ方である。


「さっきより被害出てないか?」


「と、とりあえず助けてくれぇ!」


そんな中、教室にまだ生徒が取り残されていたことが判明。さてどうするかと考えた狂、考えた瞬間に蜂が突っ込んでくる。


「うおっ早い」


「ひえぇ!このままじゃ死ぬぅ!」


とにかく無駄に早い蜂に、かなり面倒くさそうに触手を出す狂。そして教室の全面に触手を張り巡らせると、その一つに蜂が止まる。


「よし捕獲したぞ。おい逃げな」


「た、助かった!」


生徒たちは、触手に捕まっている間に脱出を終え、蜂は脱出しようとするが逃げられない。だが狂はこの蜂に関して気になるところがあったので無理やり押さえつけて観察する。


「なんだこれ」


「おい大丈夫なのかよ狂!」


「少なくとも問題ない。だが見てくれ、こいつは生き物じゃない」


そう言うと、狂は蜂を分解する。そこから出てきたのは、蜂の体液ではなく油と潤滑油。つまりはこれは機械であると言う事なのだ。


「えっこれ機械!?でもなんで機械が?」


「さぁな。だが噂になるくらいには存在しているらしい、駆除するべきだろう」


とりあえずその日の授業は、再開することなく帰ることになった。放課後、狂達はメチャクチャ強い蜂駆除を始める事にした。蜂が目撃されている場所は、学校近くの山であった。


「じゃ、潰すぞ」


「あい了解!今度はもっとマシな武器を使うぜ!」


先程蜂にこれ以上ないくらいボコボコにされたからか、アダは本気で蜂駆除用の武器を作り出していた。火炎放射器にダイナマイト、謎の液体に謎の煙と完全装備である。


「これで殺してやるよ!」


「あぁそうかい」


という訳で、この場はアダに任せ狂は少し休憩することにした。凄まじい音が鳴ったかと思うと、何かが燃えるような音が響き渡る。そしてしばらく音が鳴り続け、消えた時狂はちょうど起きだした。


「負けちゃった」


「またか」


一体どこに負ける要素があったのだろうか。アダはまた負けていた。今度は更にボコボコにされており、生首だけが転がって来ていた。


「じゃ、面倒だが俺がやる」


そして結局、ほぼすべての蜂を狂がぶちのめし終了した。


「で、その蜂はなんだったんだ?」


「あぁ、恐らく誰かが作り出したものだろう」


「だ、誰かが?」


「あぁ。……いったい誰が」


そして別の場所では、凄まじい磁気を帯びた少女が高笑いをしていた。


「あー……人生最高!」


その少女の周りには、大量のメチャクチャ強い蜂が、まるで女王バチを守るようにぐるぐると回っていた。

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この男の名は『性欲狂』~欲望あふれるこの街でのカレコレ~ 常闇の霊夜 @kakinatireiya

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