最終話 私の色 あなたの色

そして作品が完成した。思わず日曜日まで使い果たしてしまった。そのせいで彩葉の祝勝会には参加できなかったのはかなり惜しいが自分の中で物凄く良いと思える作品ができた。


明日早速彩葉に見せよう。そう考えるだけでワクワクが止まらない。

彼女は喜んでくれるだろうか、どこか変なところはないかそんな不安よりもこれを見た彩葉が喜んでくれる姿を想像してしまう。


そしてスマホを見るととんでもない量の通知が来ていた。

全て彩葉からのものだ、丸一日以上連絡が取れなければ心配もするかチャットには

『ねぇ今どこ、寂しいよ』『ねぇ!大丈夫!?返信して!!』とかなり心配させてしまったらしい。本当に申し訳ない。

『ごめん、彩葉の絵を描くのに夢中になってた。安心して。さらに会心の出来だよこの絵。明日見せるね』とかなり自分勝手な返事をしてしまった。まずいと思ってると

『よかった、これからはある程度は返信して!私はあなたの恋人なんですからね!!

あと絵は明日ちゃんと見せてね!!私が1番最初だからね!!』

思わずにやけてしまうような返信が来てそれどころではなくなってしまった。

明日がたのしみでしかたなくなってしまっ

た。 


そして翌朝快晴の中電車に1メートルの馬鹿でかい絵を乗せていた流石に周りから迷惑そうにされたが仕方ない。それにしてもF40号は流石にやりすぎた。

そして駅を降りて学校に向かって歩いていると後ろから

「めーいちゃーーーん!!」「うぇぇ」

後ろから彩葉が突っ込んできた。

なんとか踏ん張って堪えてるとすぐに離れてくれた。

「その大きな布に包まれてるのが例のやつ!?」

どうやらこの背中に背負っている大きな絵に興味津々のようだ。

「うん、そうだよ私の最高傑作だからまだ絶対に見ないでね」

「ふふっ、たのしみだなぁ〜」


そして学校に着くとさすがに目立って質問攻めにあった。『その大きなの何?見てもいい?』『紺野さんって美術部だっけ?』

『すげ〜』と朝からものすごく疲れた。

先客がいるから明日見せる、と言うとみんな残念そうにしていたが自分の作品を楽しみにしてもらえるのはすごく嬉しかった。


そんなことを考えてると後ろから

不機嫌そうな彩葉が抱きついてきて

「めいちゃんはわたしのだ!」

と、とんでもない爆弾を落とした。

この発言には私だけでなくクラス全員が唖然としていた。


すると1人が「付き合い始めたの?」と、こちらもまたとんでもない質問をした。

そして彩葉は当たり前かのように「そうだよ!一ヶ月前にしたんだ!だからめいちゃんは私のだ!」

と火に油を注ぎ始めた。

すると

「「「はははははっ!」」」

クラスのみんなが笑い始めた。


それからクラスのみんなから話を聞く限りやっぱり私たちがお互いに好きだったのがバレていたらしい。本当に恥ずかしい。

そして別に同性愛に嫌悪はないらしく特になんともない感じで思わず呆気に取られてしまった。


そして放課後

「そういえばめいちゃん、朝なんか物凄く心配してたけど、別に今時めずらしくないでしょ、レズだのゲイだの」

私の心を見透かしたかのようにそう言う彩葉。

そこで私は中学時代のことを彩葉に教えた。

告白した先輩のこと、いじめられたこと、色がわかんなくなって感情もほとんどなかったこと。 

すると彩葉は自分のことのように話を聞いて泣いてくれた。

「ひどい!どうして!、どうしてめいちゃんがそんな目に、会わなきゃなの。その先輩に合わせて。ボコるから」

と怒ってもくれた。でも

「大丈夫、もう気にしてないしむしろいじめられてなかったらこの学校にこなかったと思うし、それに今は彩葉がいるんだからもう大丈夫だよ」

私はもう怒っていない、むしろこの出来事のおかげで彩葉のことをより一層好きになるきっかけになったのだから。

「そう?ならいいんだけど、もしなんかあったらすぐに言ってね!すぐに駆けつけて助けるから!」

本当に頼もしい恋人だ。だからこの人ならもう大丈夫だと思えたのだろう。

「ふふっそうだね。じゃあ今の私の最高傑作のお披露目だよ」

そして私は布を捲った。

「すっっっごい」

普段はうるさい彩葉が静かに観てるのがすごく気恥ずかしい。

でもそれだけ彼女が私の絵に見張れてくれたのだろうと思うと誇らしくも思う。


「この絵はね、入学式からの感謝を込めてるんだ。あの日から私の日常は色鮮やかなものになったの。彩葉とあって一緒に行動して色んな色を取り戻せた。そして今私に表現できる色で彩葉を表現したかったんだ。」

「っ……!!」

「かなり遅くなったけど、大好きだよ彩葉こんな私だけどどうかよろしくお願いします」

「め゛い゛ぢゃあ゛ぁ゛ぁ゛ん゛」

初めて直接ぶつかる私からの愛。

本当に伝えるのが遅くなってしまった。

だから今日こそは絶対に伝えたかった。

「ゔん゛ごれからもよ゛ろ゛じぐ」

彩葉の顔面がすごいことなっていたから抱き締めると更に泣き始めてしまった。


きっとこれから色んなことがある。

でも私たちは乗り越えられる。

お互いに色んなものを見て色んなものを知り進化していく。

だからこれからの人生、彩葉さえいれば私に不安なんなんて何もない。

だからこれから一緒に今日も頑張ります。


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色を無くした少女 シューマ555 @syuma5689

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