第9話 観察

あの彩葉からの告白の後、剣道部の先輩には直接剣道部に入りませんとお伝えすると、

「そっかぁ、紺野さんがいると彩葉の調子がいいから欲しかったんだけどなぁ。それに」

「ちょっと先輩?私のめいちゃんに何しようとしてるんですか?」 

なぜか近づいてくる先輩に彩葉が間に入って抗議し始めた。

「あっ、これからも剣道部に顔を出してもいいですか?」

「「えっ」」

「やっぱりダメですか?」

「いや、別に問題は特にないけど、どうして?」

「実は剣道をしている彩葉の絵を描きたいんです。それで良かったら観察させてもらえたらなぁと思って」

「へぇー、ってことは二人ともようやく付き合い始めたの?」

「「?!」」

「あれ?バレてないと思ったの?二人とも一緒にいる時ものすごく楽しそうにしてたわよ。多分他にも気づいてる人たくさんいるわよ」

なん、だと、まさかお互いに好意を寄せていたのがバレていたとは…。っていうか

「えっ!じゃあめいちゃんも私のことずっと好きだったの!?」

「うっ///うん、まぁ///」

やっぱりバレたぁ〜。思わず顔が赤くなってしまう。

「おーい。イチャイチャすんならよそでやってくれ。ていうか彩葉はさっさと稽古の準備しろ」

「あっ!すいません!急ぎます!じゃあまた後でね!」

「うん、頑張って」


そのあと剣道をしてる時の色んな彩葉をスケッチした。

素振りをしている時。試合練習をしている時。形の練習をしている時。本当に色々描いた。

ただどうしても彩葉の凄さが表現しきれない、いくらラフとはいえ一体どうしたものか。

一応彩葉には完成するまで待ってもらうように説得をした。

最初はかなり不満そうにしていたが完成した1番凄いのを最初に見て欲しいと言ったらあっさりOKしてくれた。

だからこそ頑張って彩葉の期待に応えられるすごいものを描かなきゃ。







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