第5話 心情

流石に5月ともなると周りは部活動やバイトの話がよく飛び交う。この高校は部活動が平均的に強く、部活動目当てで入ってくる人もいるくらいだ。

彩葉も部活動目当てで入ったらしい。


私は、特に何かやりたいことがあるわけでもなかったから絶賛帰宅部を満喫中だ。バイトも特にやる必要がないからやっていない。


ただ、かなりの頻度で彩葉に無理やり見学に連れていかれるせいでなぜかマネージャーくらいの立ち位置になってきている。


彩葉は本当に不思議だ。普段はコロコロと表情が変わるのに剣道をやっている時は集中しているのか表情は凛としている。

剣道をしている時の彼女が私は好きだ。

いつもは部活にあんまり行きたがらないのに

いざ部活が始まると素人の私ですら集中してるのがわかるくらい雰囲気が変わる。


そんな彼女を間近で見れるのはいいのだがあまりに彼女と一緒に行動しているのをよく思わない輩もいるようで、一緒にいるときにこっちを指差して何やらコソコソ話してる人なんかもちょくちょく見えるようになってきた。


彩葉は気付いてないのか気にしてないのか、

今日も今日とて私のところに来ては楽しそうにいろんなことを話してくれる。

彩葉といると昔の自分のように無邪気でいられる、心から笑える。

でも不安も大きい、自分と一緒にいて楽しいのか、周りの子や、同じ部活の子と会話してる方が楽しいんじゃないか、そう考えると少し怖い。


それでも彼女が他の子が会話をしているのが面白くないと思ってしまう自分もいる。


私はこれからどうすればいいの...。







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