第4話 色づき始めた日常
朝、目を覚まし、学校へ行く支度をする。前までは少し苦痛に感じた作業も彩葉のことを考えると楽しくなる。
(今日も会えるといいな)
そんなことを考えて支度を進めると自分の目につくものに色がついているのに気づいた。
その後徐々に色は消えていったがそれでも彩葉と会ってから明らかに変だ。
もやもやした気持ちを抱えて登校をしていると
「おっはよー!めいちゃん!」「ひゃ!」
突然彩葉が後ろから抱きついて挨拶をしてきた。
「うん、おはよ」
少しびっくりして変な声が出たけど平静を装い挨拶を返す。
彩葉は昨日と同じく色がはっきりとしている。
どうして彩葉の色だけがはっきりとわかるのか、今日の朝のもよくわからない。でも...
「ねえ!今日の自己紹介で何言うか決めた?わたしはねぇ...」
こんな私の隣でもこんなに楽しそうに笑ってくれる人がいるならそれでいい、そう思った。
いざ学校についても私の隣には彩葉がついていた。
クラスの人がこっちをみて話しかけようとしてるのを見て少し申し訳なくなる。
(彩葉は昨日の時点で人気者だったしなぁ。しかたない。)
彩葉と話せないのは少し惜しいがクラスのため。
「彩葉ちゃんごめん、すこしお手洗いに行ってきるね」
「うん、早めに戻ってね」
「わかった」
さりげなーく彩葉と離れることに成功。
「今なら空いてるよ」
「え、う、うん」
話したそうにしてた子にこっそり今なら話せることを伝えてトイレに。しかし...
(おかしい、いろいろおかしい。前まで自分の感情すら曖昧だったのにさっきみたいに人の視線や感情を読み取るなんて色が見えなくなってから1回もなかったのにどうして?。と言うか色が普通に見えるんだが?彩葉といたからか?でもどうして...)
と一人でトイレでパニックになっていた。
それから程度考えが落ち着いたので教室に戻ろうとすると彩葉とさっきの子が楽しそうに会話をしているのが見えた。
それを見てさっきまでとは違うモヤモヤが胸の中に溜っていくような気がした。
教室の扉を開けると彩葉はこっちを向いて犬みたいに突っ走りながら「おかえりー!」と突っ込んできた。もちろん体幹も筋肉も無いに等しい私はそのまま押し倒されてしまいさっきまでのモヤモヤは吹っ飛んでいった。
あれから無事に学校初日が終わった。
クラスは優しそうな人が多くこれからの学校生活が楽しみだ。
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