第19話 ボンゴレビアンコ

 マンションに着くと、さっそく玄関の電球を取り替えた。

 リョウ君ママは乾燥機にかけておいた洗濯物をたたみ、パジャマや替えのお弁当袋にアイロンをかけだした。

 遼平はまずサラダを作ることにした。


「キッチン、勝手に使わせてもらいます」

「ええ、どうぞ。何かお手伝い出来ることがあればおっしゃってください」

「今のところ大丈夫です」

 

 サラダは多めに作って子どもたちにも食べさせよう。

 茹で卵とチーズ、レタス、トマト、キュウリ、エビも入れるかな。

 ドレッシングにつけ込んでおくと美味しいなる。


「ちょっと失礼してビールいいですか?」

「遠慮なさらずに、どうぞ、どうぞ」

 

 冷蔵庫から取り出すと一気に飲み干した。


「本当に美味しそうに飲まれますこと」


 リョウ君ママはソファーに座り、コロコロで紺色のTシャツの糸くずを取っている。

 

 キッチンカウンターの上に白い二つの容器が置かれている。

 塩はと、こっちだな。

 容器に入れられたきめの粗い方をちょっと舐めてみた。間違いない。

 大きな鍋に湯を沸かし、塩を入れる。

 アサリは砂抜きアサリと書いてあるので、このまま使えるのだろう。


「ワインのコルク抜きはありますか?」


 リョウ君ママはキッチンカウンターの引き出しを開けて取り出した。


「料理に使う前に少し乾杯しませんか?」

「あら、ステキですこと」

 

キッチンカウンターにグラスを置くと白ワインを注いだ。

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