第14話 ミカのおふくろさん
それやったらうちのおふくろに頼もうや。ミカのおふくろさんはええ人やけど気を遣う。それに勇気がリョウにべったりやから、どないなるやろ。
「幼稚園に勇気にそっくりなリョウって子がおって、すごく仲良くしていて向こうに泊まるくらいに懐いているんです。そやから無理矢理連れて帰ろうと思わんといてください」
そうミカのおふくろさんに釘を刺しておいたのだが、人の話を聞いていないのか、
「いえ、このばあばがお迎えに行ったらユウは飛んで来るはず」
人んちの子を犬みたいに言う。
案の定、幼稚園で一騒動あったようで担任の先生から電話があった。
リョウの家に行くと言う勇気を無理矢理連れて帰ろうとして、勇気が大泣きしたと言う。
そやから釘を刺したのに。
結局、リョウ君ママが連れて帰ってくれ、騒動は収まった。
まったく、ユウはいつまであちらに世話になるつもりなのか。
ユウ君ママは、そのうち飽きるでしょうと笑ったのだが、祖母の執拗な言葉、ヒステリックな声が、余計に家から勇気の足を遠退かせてしまったかもしれない。
俺の有休もほとんど残ってへんし、ミカのおふくろと顔付き合わせているのも息苦しい。
顔を合わせると、勇気を甘やかすからだと、幼稚園のお迎えの一件を根に持っている。
「遼平さん、ずっと家にいるけど、リストラされたわけじゃないわよね」
なんてことをサラリとおっしゃる。
こりゃ、明日まで有休をとっているけど、早々に出社した方がええかもしれへん。
ああ、明日は朝からビールを飲んで1日ゴロゴロしておこうと思うたんやけどな。
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