第12話 キャラ弁

「今日、僕、コンビニ弁当なのってリョウ君ママに言ったら、お弁当作って来てくれたの。リョウ君と同じパンダさんのキャラ弁なんだよ、すんごく美味しかった」

 

 遼平はリョウ君ママに向かい、


「弁当のお世話までかけして申し訳ありません」

「いいえ、慣れていますから、どうかお気になさらずに」

「じゃあ、帰りましょうか」

 

 門を出て、勇気の手を引き歩き出すと、


「パパ、僕、リョウ君のお家に行くんだよ」

「そやけど、そんな連日はあかんよ」

「嫌だ、僕、リョウ君のお家に行くの」

「じゃあ、リョウ君ママと帰ろうか」

 

 リョウと繋いだのと反対側の腕をリョウ君ママが差し出すと、勇気はちゃっかりと手を繋いだ。


「お泊まりしてもらってもいいですけど、奥様がお戻りならお迎えにいらしてください」

 

 そう言い残し帰って行った。

 スレンダーなリョウ君ママのワンピースの裾が風に揺れ、そのオレンジ色が消えて見えなくなるまで遼平は立ち尽くしていた。

 昨日おうたばかりの人間に、子どもを預けてええんやろか。

 ミカが帰っていたら何と言うやろか。

 遼平の心配をよそに、ミカは帰っていなかった。

 いくらなんでも変やろ。スマホのコールボタンを押しても、電源が入っていないとメッセージが流れた。

 


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