第7話 ママにはナイショ
たこ焼きの発泡スチロールの容器を持って通りかかったおばさんが、子どもたちを見て、
「双子やねえ、そっくりやわ、一卵性かい」
と、こちらの返事も聞かずに去って行った。
「やっぱり、似ているんですね。この間幼稚園に迎えに行って、どっちがどっちかわからへんで、親でさえこれなんやから、他人ならなおさらですよね」
「本当」
そう言うとリョウ君ママはクスリと笑った。
「パパ、遊びに行って来ていい?」
「ああ、ここの場所をよく覚えておくんやぞ」
二人は手を繋ぎ遊具施設の方にかけ出して行った。
その後ろ姿も双子そのものだった。
ただ、リョウの方が大人しい分、少し大人びえて見えた。と言ったところで、まだ5歳の子どもだった。
ビールをいじましく6本とも全部開けた頃に、勇気たちも戻って来て帰り支度を始めた。
荷物を担いでゲートに向かって歩いていると、勇気が近付いて来て言った。
「今日のことはママにはナイショね。リョウ君ママの話すると機嫌悪くなるんだ」
「なんや、そりゃ」
リョウ君ママに車のキーを渡した。
「よろしくお願いします」
「はい、お任せください」
助手席に身を沈めると、そこから先は記憶がなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます