第5話 お弁当

「もうちょっと遊んだら、帰り道で何か食べて帰らへんか。ガストでもびっくりドンキーでも、おまえたちの好きな所に連れて行ってやる」

 

 この長蛇の列に並ぶことを考えたら、この提案は悪くないはず。


「うーん、リョウ君、どうする?」

「そうだな。あっ、ママだ、ママ、こっち、こっち」

「えっ、ママって?」

「リョウ君のママだよ」

「遅くなってすみません」

 

 背のスラリとした女性は両手に荷物を提げていた。


「お弁当作って来ました」

「えっ、お弁当? パパ、お弁当だって、わーい、わーい」

 

 リョウまでつられ、


「わーい、わーい」


 と両手を挙げ騒ぎ出した。


「シートも持って来たので、どこかで拡げましょう」


 遼平は荷物を持つと、空いているスペースを探し出した。

 木陰は押さえられてしまっていて空いていないが、さほど暑くもないのでいけるやろ。


「ここに座りましょう」


 遼平はシートを受け取ると芝生の上に素早く拡げた。

 子どもたちはシートの上に寝転がって、躰をゴロゴロと回転させた。

 ここにミカがいたら雷が落ちるところやった。勇気も羽を伸ばしているんやろ。


「さあ、ウェットティッシュで手を拭いていただきましょう」

 遼平も渡されたウエットで丹念に手を拭いた。

「うわあ、クリスマスだ」

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