第4話 遊園地

 何がそんなに楽しいのか、後部座席の二人はキャキャとじゃれ合い大声で笑った。


「リョウ君、遊園地に行ったら何に乗りたい?」

「僕、何があるのかわかんないよ」

「ジェットコースター乗れる?」

「僕、身長が足りなくて乗れなかったんだ」


 勇気も110㎝以上の身長制限に引っかかって乗れなかったことがある。

 今、身長はどれくらいなんやろ。


 駐車場に着くと、遊園地のゲートまで二人は走り出した。

 

 今からそんなに飛ばして、あとでへたっても知らんぞ。

 

 ゴールデンウィークが終わって最初の日曜日だというのに、家族連れが多かった。

 園内では二人手を繋ぎ、あれがいいとか、次はあれに乗ろうとか、うしろについた遼平は右往左往させられた。

 パーラーの椅子に座り込んだ。


「パパはここで待っているから、おまえたちで行って来い」

 

 二人は水分補給するとかけ出して行った。

 ビールでも飲めたら最高やのに、アカン、アカン、誰が運転するんや。

 アイスコーヒーを啜って、我慢、がまん。


「パパ、お腹空いた」


 昼時分になって子どもたちはようやく帰って来た。


「そうやな、そこで何か買おうか」


 と店先に目をやると長蛇の列。さっきまでがら空きやったのに。

 これに並ぶんか、難儀なこっちゃ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る