第3話 いざ遊園地へ

「ねえ、ほんまにお弁当いらんの、せめてお握りくらい作ろうか?」

「いや、いらん。荷物になるし、そのほうがミカもゆっくりと出来るやろ」

「そしたらお言葉に甘えて、ウチも女子会に行って来るわ」

「おお、そうし、ノンちゃんも来るんやろ、よろしい言うといて」


 いつも忙しなげにするミカが、珍しく玄関先に見送りに来た。


「ユウ君、パパの言うことよく聞いてね」

「わかってるよママ」

 

 勇気のそのあとの言葉を遼平は聞き逃さなかった。


「ママは口うるさいんだよ」


  いったいどこで、そんな言葉を覚えてくるんやろ。しげしげと勇気を見詰めていると、


「パパ、早く行こうよ」

「リョウ君は幼稚園の門の前で待っているんやな」

「うん、そうだよ」


 遊園地まで電車で行ってもよかったんやけど、帰り道で寝てしまわれると厄介なので、車を出すことにした。


「あっ、リョウ君だ」


 勇気は幼稚園の門の前で一人佇むリョウをいち早く見付けた。

 車がまだ止まっていないのにシートベルトを外し、扉を開ける勢いの勇気だった。


「勇気、慌てると怪我するぞ」

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