第2話 一緒に 

「ねえ、パパ、今度のお休みの日の遊園地、リョウ君も行ってもいいでしょ」

 

 勇気が手を繋ごうと手を差し出してきたものやから、慌てて訊いた。


「ユウ、手をよく洗ってきたんか?」

「うん、洗ったよ、パパも見てたでしょ。僕が手を洗うところ」

「ああ、そうやったな」


 うり二つの子の存在に気をとられ本当のところ見てなかった。


「ねえ、それよりリョウ君も一緒に行ってもいいでしょ」

「うん、リョウ君のパパとママに訊いてみんとな」

「リョウ君にパパはいないんだよ」

「えっ、そうなんか」


 最近、一人親世帯が増えているって、ミカが言うてたな。

 

 信号が青に代わり再び歩き始めた。


「ねえ、いいでしょ」

「勇気、この信号は早く渡らないと代わってまう」

「だから、いいでしょ」

「うん、わかった、わかった、だから急いでくれ」

「やったー」

 

 跳びはねる勇気の腕を強引に引っ張り急いだ。


「でも、リョウ君のママがいいって言うてからやぞ」

「リョウ君ママ、いいて言ったの」

 

 何や、話はもうついているんやないか。

 勇気は年長さんになって言葉数も増えおしゃべりになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る