💛恋はまだ始まったばかり。妻にはナイショ。

オカン🐷

第1話 息子とうり二つ

 その話を妻のミカに聞いたとき、遼平はまたオーバーなこと言うてと取り合わなかった。


「ほんまなんやから。幼稚園に行ってみたらわかる」

 

 そんな言葉を背に送り出され、息子の勇気の幼稚園に迎えに行った。

 有休を消化してくれと会社から言われ、今日は休みを取った。

 

 勇気はどこにおるんや。

 

 狭い園庭を見回すと、隅の砂場で遊んでいるのが見えた。

 

 えっ、どっちやろ。

 ミカの言っていた通り、双子のような男の子がおる。

 

 えっと、勇気が今朝着て行ったTシャツは確か黄色だった。最初、グリーンのTシャツを着ていて、ケチャップを溢し着替えたのだ。間違いない。

 それにしても、よう似とる。砂場にしゃがみ込んだ、躰の大きさまで一緒だった。

 年長さんにしては勇気は大きなほうだったが、背丈まで似ているとは。


「あっ、パパだ」

 

 勇気は砂遊びの手を止め、やっと顔を上げた。

 その隣で振り向く男の子も同じ表情をしていた。

 勇気が駆け寄って来なければ、どちらが我が子か判然としなかった。


「リョウちゃん、バイバイ」

「ユウちゃん、ばいばい」






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