【3.5】
「じゃあ行ってくる」
依頼がある土曜日、俺は高木にひとこと言って玄関に向かった。
靴ひもを結んでいると、高木が何かを持ってこちらに来た。
「これ持ってけ」
彼はそう言うと3枚の古びたお札を手渡してきた。
「なんだこれ?」
「もし幽霊とかやばい化け物に襲われたときはそれを使え。そのお札には俺の力の一部が宿っている。それを壁とか床に貼ると、即座に発動する。時間稼ぎにはなるだろう。でも、あくまで時間稼ぎだからな。祓いきる力は宿っていないから、もし襲われたらそれを使ってとにかく逃げろ」
「そんなに心配ならお前も来ればいいのに」
「誰が行くかよ、そんなガキのくだらない噂程度で。あくまで保険だ、保険」
「はいはい」
俺は受け取ったお札を財布の中に入れておいた。
ポケットに入れておいて落としたら変な目で見られかねないからな。
「さてと、牛丼屋で昼飯食って、その後はランク回すか」
神崎を見送ってしばらくした後、高木も外に出ようと身支度をした。
不意に、テレビで流れているニュースが目に留まった。
「今月の16日、東京都○○市内の私立上村高校に通う長岡慎二ながおかしんじ君(17)が高校の屋上から転落して死亡した問題について、学校側が『男子生徒がいじめを受けていた』という事実を認めました。それを踏まえ、学校は近く第三者委員会を立ち上げ、どのようないじめがあったのか、具体的に調査すると発表しており……」
「上村高校……?神崎が今日行く高校じゃん。……まさかな」
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