第3話 天国の門

もう何回目の出産だろう。


私はまたベッドにいる。


赤ちゃんを何人産んだか忘れてしまった。

短い授乳の期間が終わったら、また次の妊娠に向けてセッティングされる。

容赦ない。


他のママたちが言っていたように、赤ちゃんなんてかわいくない。

顔を見たこともない。


この出産の後、私は売られるんだ。

私が最後に行くところは天国への入り口。

そこでは、電気ショックで動けなくなった後、頚動脈を切られて、失血死させられる。


そこではみんなで私の臓器を取るんだ。

皮、耳、目、足、爪、骨・・・何もかもぜんぶ売れる。

私は高級だから価値があるんだと思う。

私は最高品質。


次、何に生まれたいかって?

もう生まれ変わりたくなんかない・・・。

生きてくのって大変だから。


食肉用豚は6か月で出荷される。

繁殖用母豚は3-4年生かされる。繁殖用の豚の肉はおいしくないからソーセージなどの加工肉に使われるそうだ。


どちらか選ぶとしたら、どっちがいいだろうか・・・。

俺だったら前者かな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ある一生 連喜 @toushikibu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る