第2話 初めての出産

 妊娠するとだるい。

 体を動かすと流れてしまうかもしれないから、小さなベッドに寝かされる。

 出産するまでそこから出れない。


 隣のベッドも妊婦さん。


「どなた?」

「私は、マギー」

「具合はどお?」

「まあまあ」

「出産初めて?」

「3回目」

「あら、ベテランね。痛い?」

「うん。大変よ」

「赤ちゃんってかわいい?」

「全然。憎たらしい」

「どうして?」

「乳首をかむから痛いし」

「でも、かわいくない?」

「ぜんぜん」


 出産まで寝たきり。

 ベッドから動けない。


 私も時期が来て産気づいた。

 腹が死ぬほど痛い。

 死ぬ・・・シヌ・・・

 神様どうかこのまま死なせてください・・・

 私はそっと神様に祈った。


 すると、子どもが生まれた。

 誰かが引き出してくれたみたい。

 私の赤ちゃん・・・

 でも、抱くことはできない。

 すぐに連れ去られてしまった。


 授乳の時だけは連れて来る。

 でも、それもあっという間。

 私がうとうとしていると赤ちゃんはいなくなっている。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る