優しくて悲しい言葉
時間の流れは止まってはくれないもので、果那ちゃんが片想いの相手と少し話せるようになってからは、どうやら順調に進んでいるらしい。
正直、悔しい。『今日はこんなことがあって』とか、『今度その子を含めたグループで遊びに行くことになった』とか。楽しそうに話している果那ちゃんとぼーっとした気持ちで向かい合う。
そうでもしていないと、私は....。
✱✱✱
「風邪っぽいって言ってたけど大丈夫?」
「あぁ.....うん。最近テストとか課題とかで疲れてたのかな〜....。」
そう言って私はマスクの下で笑顔を作る。もちろん、果那ちゃんには見えていない。でももしかすると、目元は笑っていないかもしれない。目は口ほどに物を言うというし、何より果那ちゃんは人の感情を読み取ることが上手い。こうやってニコニコ話しているように見えて、実はもう私の気持ちを見透かしてしまっているのでは....?と思ってしまう。
「ほんとに大丈夫?具合相当悪いんじゃ.....?」
「いや、大丈夫。すぐ治ると思うから。」
「そう.....。」
そんな風に、どこかふわふわしていて掴めないところも好きなところだけれど。
「今度ね、気持ち伝えようと思うの。」
呟くように果那ちゃんが言った。
「え?」
「だからね、好きな子に告白しようと思うの。」
一番聞きたくなかった言葉だった。もちろん、この気持ちが叶うとも全く思っていなかったけれど.....それでも、諦めたくはなかった。
「ねぇ、」
「うん?」
「私が果那ちゃんのこと好きって言ったらどうする?」
「え......?」
目を大きく見開いて果那ちゃんは固まってしまった。私も少し、いやかなり意地悪な聞き方をしていると思った。果那ちゃんは俯いて、黙り込んでしまった。
「嬉しいよ、でも......その子以上に好きって気持ちには、なれない.......かな。」
とてつもなく優しくて悲しい言葉だった。
好きのおおきさ 七瀬モカᕱ⑅ᕱ @CloveR072
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。好きのおおきさの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます