一枚分
果那ちゃんと出会ったのは、中学生の時だった。友達作りが苦手な私は、環境が変わって少し時間が経ってもクラスに馴染めずにいた。
そんな時、話しかけてくれたのが果那ちゃんだった。お互い共通の話題もあったから、仲良くなるのにあまり時間はかからなかった。
『ねぇねぇ何してるの!!』なんて、テンション高めで話しかけられたのは今ではいい思い出。そこからクラスではなすようになって、お出かけも一緒にするようになって....距離が縮んでいった。とても楽しかったし、あー、青春してるなぁ....とぼんやり思いながらすごしていた。
けれどそれは、たった三年で終わってしまった。
✱✱✱
「それでさ〜.....、ちょっとだけだけど話せるようになったんだよね。」
「うぉ......、それは物凄い....進展では?」
今日も相変わらず、私は果那ちゃんの恋愛相談の聞き役にまわる。私と果那ちゃんは高それぞれ別々のところに進学したから、会える回数は昔よりもかなり減っている。だいたい、二人で会おうとなる時はどちらかが相談にのってほしいことがある時で、今回はそれがたまたま、果那ちゃんの恋愛相談だった。
「ほんとに恋人同士になれたりして〜?」
「ちょっと本当にやめてよね!冷やかすの.......。」
こんなふうにちょっとからかうのは楽しいけど、本音を言えばうまくいかないでほしい。もっとわがままが許されるのなら、私だけを見ていてほしい。
そんなことは、言えるはずもない。私は果那ちゃんの話を笑って聞いているだけで精一杯だった。
二人の間に、ギクシャクするようなことは何も無いはずなのに私には二人の間にアクリル板のようなものが見えてしまう。もしかするとそれは、アクリル板なんかよりももっと薄い膜のようなものかもしれないけれど.....確実に私は果那ちゃんから遠ざかっている気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます