本物の聖女じゃないとバレたのに、王弟殿下に迫られています
葛城阿高/ビーズログ文庫
序章 どうしてこうなった
私は聖女。この国でただ一人の、
悪魔というのは人間に
そして、聖なる力の
「……これ、毎度やらないといけないの?」
目の前に立つ彼に、私は小さな声で
聖なる力を渡す方法は、『祝福の
祝福の接吻は
だというのに、やる気に
「すぐ終わる。だから
――なんで私が受け入れる側になっているのかな……?
以前にも似たような会話をした
テオは身を乗り出して、今にも私に「ほら、ここにキスを!」と
私にはキスをするという
「テオフィルス、あなたに聖なる力を
ところが、お決まりの口上が終わるよりも早く、テオが私の唇を
まさにあっという間の出来事。完全なるフライングだ。私のタイミングも事情も、彼は
私が思う暗黙のルールでは、今のようにテオから私に迫ってはいけないし、むやみやたらと体に触れてもいけない。ましてや、舌を入れるなど。
「……っ!!」
にもかかわらず、テオの舌は私の唇の
一秒、二秒、三秒。長くはないが、短くもない時間。私の体感時間では充分長いけど。
「……、………………、ぷはっ!?」
ちゅっという
へなへなとその場にへたり込む私に代わり、テオが高らかに宣言する。
「祝福の接吻により、聖女セルマの聖なる力はこの俺テオフィルス・アンヘル・オルサークに
――キスがどうであれ結局のところ、最終的にテオが悪魔をやっつけてくれればそれで……いいんだっけ?
――いや、ダメでしょ。
私は自分の唇に
先ほどの
そもそもテオは私を疑い、目の敵にしていたはず。本物の聖女ではないのではないかと。
――だというのに、この状況は何?
――どうしてこうなった!?
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