青白い星が瞬く光を放ちながら、自身の内に力を凝縮していく。

周りには何もいない。

あるのは孤独だけだ。

では、これからどうしようか。

「この世を、支配するしか…」

なみだを流しながら、少しずつ、少しずつ、世界の終わりへの道を辿っていく。

それは単調でもあり、早急でもあった。



そんな中、幾分か離れた場所で、それを止めようとする者がいた。

「チッ!デカすぎる」

右手の親指を噛みながら、自身の無力感に苛々を感じる。

彼女の容貌は黒。

周りには自身の力と一人の連れのもの以外、全て無。

「***様」

万事休すの彼女を、敬意を持って呼んだのは連れのもの。

「もしも、よければ、私を、お使いください…」

「いやダメだ!お前は私のモノなのだ!そんな者を、私の手でなど…」

本当に愛し、愛されているのだろう。

最後には両者共涙を流してしまい、もはや意味もなく抱き合った。

「***様….」

「….私は、お前を忘れない…、初めてできた、愛する者なのだから..」

「ありがとう…こんな私を、好きになってくれて」

そしてすかさず、唇を合わせ、キスをした。

それは特に濃密でも、単調でもなく、ただ愛を確かめたくての行動であった。

「………最後は、これでよかったですか?」

「……..バカ……..」

涙を拭いながら最後のわがままを***はし、技の準備を始めた。

そしてその間、彼女らはずっと手を握っていた。

最後の輪郭、最後の触れ合い、最後の瞬間。

この時間がいつまでも続いて欲しかった。

アイツさえ、いなければ。

憎しみが心を覆った。技の準備完了だ。

「では、またいつか」

「ああ、これまで、ありがとう」

最後の言葉を投げ、投げかけられた後、贄となった女は、眠った。

「これで、止まってくれ」

***は世界の破滅者を向けて、ピストルを撃つかの如く人差し指を向けた。

そして弾には、星になった愛する者。

「眠りに眠り、記憶を無くし……..、わたしと、会うな」

契約は満たされた。内でなにかが燃え尽きるのを感じた。

「精界土庵…」



パァン!



大きな音とともにその星は青白い星へと向かっていく。

その後、ソレは今にも爆発しそうな星に、新しい土を覆い被させた。

外側は包囲された。そして中では、


大爆発が起こった。


土は余程固いのかびくともせず、何が起こったのか外目ではわからない。

だが、別れが終わったのは、確かだった。

「じゃあな、汚穢」

新たな名前とともに、***は背を向ける。

自身の右目を覆うように手をかぶせながら。


二度とこのようなことにならないように。

二度と、大切な人を失わないように。

彼女は進む。

今度は彼女が、世界を征服するために。










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