兇と福
簪
序章
上
「私、いつかみんなと仲良く遊びたい!」
黒い星が言う。
星といってもとても小さく、中に人がしゃがんで入れるくらいの大きさ。
実際、中には人が入っていた。
「私も、そう思う」
青白い星が答える。
それはまるで用意された答弁を返すかのように無感情だったが、閉じた目とは逆に口は笑っていた。
「でもそんな日がいつか来るのかな?」
白い星が少し間を置いて問う。
その声は今にも泣きそうで、だが慈愛に満ちていた。
「来るさ、きっとね」
緑色の星が励ます。
広い宇宙のなか、小さな星4つの会話はどこかともなく虚空へと消え去っていく。
しかしその中に存在するのもまたこの4つだけ。
彼女らは、お互いに触れ合うことを、心から望んでいた。
それが叶わぬ夢だとわかっていても、いつまでも軌道の上を進むように、信じ続ける。
進まないのは罪ではない。
ただそこで全てが止まるだけだ。
四大星
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