第5話一晩経って
雨は一時的に小雨になった。
朝の7時。高校生が食堂に集まった。山荘側は気を遣い、朝ごはんは軽くサンドウィッチにした。
「みんな、食べましょう。殺人鬼に襲われても、大声出せるように、食べなさい」
生徒達は、無言で朝食を摂った。再び自室に戻って行った。
黒井川は事務所にいた。
「丸田さん防犯カメラついてますよね。いたる所に。録画を拝見出来ませんでしょうか?」
「……あの防犯カメラはダミーです。録画はされていません」
「そうですか~」
黒井川は地団駄を踏んだ。
雨が一時的に止んだ。黒井川と戸川は急な雨に対処出来る様にカッパを着ていた。
「あ、あの、わたしも加えてもらえませんか?支配人からお二人がホテルの周りを見回りに行くと聞いたので」
「ここは、男性に任せて下さい」
「わたしは、もとレスリング部です。
邪魔はしませんから。残された大事な生徒の命を守る為です」
3人は別れて見回った。黒井川はプレハブ周辺、田崎は裏の作業場、戸川は駐車場周辺。
何も発見できなかった。
犯人が外部の人間なら、どこか隠れる場所が無いか山荘中を探ったが不審者はいなかった。
その晩
昨日と一緒で黒井川と戸川が大浴場に浸かっていた。
「戸川君、今夜から2人で交代制で山荘内を巡回しよう。取り敢えずゴルフバッグから、アイアンを借りて」
「あ~、事務所にありましたね」
すると、高校生が2人入ってきた。
殺された小日向の彼氏の佐々木と山本であかった。2人は湯船には浸からず無言で身体を洗っていた。
「ねえ、君たち、竜神君は?」
「カギが閉まっていて、呼び出し出来ませんでした」
「ワトソン君、何か感じるね。上がろう」
黒井川と戸川は竜神洋平の部屋の206号室に向かった。
そこには、数名が立っていた。
田崎は、黒井川に向かって走った。
「206号室から、血液がっっ!」
206号室の扉の隙間から廊下に血溜まりが出来ていた。
戸川がドアノブを引いたが施錠されていた。
丸田が206号室のカギのスペアを持ってきた。
黒井川が扉を開いた。
そこには、脳天にナタが振り下ろされた状態の、竜神の死体が転がっていた。残されたの部員達は立ち尽くしていた。田崎はへたり込んだ。風呂上がりの山本と佐々木も死体を見て目眩を覚えた。
「これで、関係者4人死んじゃったね、あの2人の呪いよ」
そう、和田由美はつぶやいた。
「和田さんっ!」
田崎がたしなめた。
「あっ」
戸川が部屋のデスクの上に無造作に置かれた部屋のカギを見付けた。
「黒井川さん、て事はまさか」
「そう、密室殺人だね」
皆さん、一旦、食堂に集まりましょう。
雷鳴が轟くなか、私立東南高等学校美術部で起きた2つの死について、田崎が話し始めた。
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