第26話 エピローグ

 わたし達は元の世界へと戻っていた。地球の軌道も正常に戻り、環境も元の落ち着きを取り戻していった。


「シン・わたあめ君。ラピスちゃん。お疲れ様。本当に、よく頑張ったね」

「ああ、花子。これでやっと終わりだ」

「いいえ、まだ終わってはいません。マザーAIが停止した今、これからまた新たに人類とAIとの関わりが問われていくことでしょう」

「そっか……そうだよね。わたし達が守った世界がこれからも続いていくように、今度はわたし達の手で未来を守っていかなくちゃいけないんだ」

「そう身構えなくても大丈夫ですよ。だって、私とともに旅をしてきた人達はこんなにも強いのですから」

「ありがとう、ラピスちゃん」


 わたしはラピスちゃんと握手する。そこにマリナちゃんがやってきた。


「ああ! 花子、こんなところにいた。もう、早く来なさいよ。雑用係はあんたの仕事でしょ」

「ごめん、マリナちゃん。ちょっと外の風に当たりたくてさ。すぐに行くよ」

「じゃあ、俺達は先に行くぜ」

「艦のチェックを済ませておきますね」

「ああ! 二人とも飛べるのずるい」


 シン・わたあめ君とラピスちゃんは先に行ってしまう。わたしも飛べればいいんだけど、暴走した杖はもう発動しなくなっていた。




 わたしとマリナちゃんが船に戻ると艦長達はもう待っていた。


「遅いぞ、花子。まったく世話の焼ける奴だ」

「ご、ごめんなさい」

「ふっ、だが、そんなお前だからこそ我々は助けられたのかもな。改めて礼を言う。ありがとう、花子。お前のおかげで我々の夢が叶う日が来た」

「いえ、艦長の力があったればこそです」

「いや、お前がいなければこの艦もなかっただろう。この艦だけじゃない。この世界に生きる全ての者達がだ。我々には感謝してもしたりないほどの恩がある」

「そう言ってもらえると嬉しいです」

「じゃあ、花子。これからもこの艦の雑用係は頼むな」

「はい。……え? 昇進とかないんですか? わたし世界を救ったんですよね? わたしも艦長とかやってみたいなーって思ったりなんかしたりして……」

「もう、花子ちゃん。たかしの気持ちを汲んでやって。この子は花子ちゃんとまだ旅がしたいって言ってるのよ」

「あ、そうなんですね。じゃあ、この佐藤花子。また雑用係を頑張らせてもらいます」

「余計な事言うなよ……」


 艦長とルナさんは微笑んでいる。AIを通して艦をチェックしていたステラさんが声を掛けてくる。


「艦の状態は全て正常です。いつでも発進できます」

「よし。では、発進だ」


 艦が浮上していく。新たな目的地を目指して。


「ところで艦長。今度はどこへ行くんですか?」

「アトランティスだ」

「アトランティス?」

「前に戦いが終わったらこの艦を沈める話をしたでしょう? これほどの艦を沈めるならどこでもいいというわけにはいかないわ」

「そこで我々が向かうのが海の底に沈む伝説の大陸アトランティスだ」

「なるほど。で、それはどこにあるんですか?」

「分からん」

「分からんって……」

「だからこそ行く価値があるのだ」

「海の事なら任せなさいよ。きっとポセイドン様なら知っているわ」

「マリナちゃんがいて良かった」

「珍しい海の食材が手に入りそう」

「妖精ロボ子も頑張りますよ」


 ちづるちゃんや妖精ロボ子もやる気を出している。だったらわたしも前を向いて頑張らないとね。


「よーし、行くぞー!」


 わたし達の旅はまだ続いていくのだ。

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宇宙戦艦、太陽を目指す ~地球は超AIに支配されました~ けろよん @keroyon

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