「眠る人」を前にした情景を書きなさい(600字)


 目覚めよ市民たち! いつまで惰眠を貪っているつもりだ?

 私の言葉に、諸君らは反感を抱くかもしれない。自分はちゃんと起きていると。まぶたをしっかり見開いていると。

 しかし、それはカンチガイだ。諸君らは真実眠らされているのだ。甘い夢を見させられているのだ。何を隠そう、ほかならぬこの国の政府によって。

 政府は言う――国際情勢が不安だと、だから軍備を増強せねばならないと、国土を守るために必要なのだと。

 だが、そんなものはウソっぱちだ。海の向こうで起きたささいないさかいが、どうしてこの国の安全保障をゆるがすというのか。合理的に考えてみるといい。かの国がこの国に攻め込むわけがない。そんなコトをする理由がない。

 では、なぜ政府は軍備を増やしたがるのか。その答えを今、教えよう――政府はただ、戦争がしたいだけなのだ。かつての帝国主義を取り戻したいだけなのだ。そのために人がいくら死んでもかまわないのだ。奴らにとって平和など、退屈な昼下がりにすぎないのだ。新たなる夜明けを夢想して、愚かにもこの国に落日を迎えさせようとしているのだ。

 連中は間違っている。剣を取る者は剣で滅びるのだ。国を守るのに武器はいらない。ただ平和を愛する心があればいい。対話することをあきらめなければ、敵はかならず矛を収めてくれる。

 諸君、今こそ立ち上がるときだ。人殺しの政府を打倒し、真に平和を愛する市民の、市民による、市民のための新政府を樹立しようではないか。奴らを高く吊るせ!

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