第49話 会議

「ぶちょーは俺の協力をしてくれるんじゃなかったの。」

 休憩中、逸は憤慨しながら柊部長に話しかけた。

「いや、勿論その気持ちはあるよ?」

「だったらなんでさっき邪魔したんだよ。」

「いや知らんしww部室でイチャコラしてるって知ってたらあんな開け方せんよ。もっとこっそり開ける。」

「開けんな。」

「やーん、怒りすぎてて敬語忘れちゃってるぅ。コワたん~。」

 部長はおちゃらけながら逃げるそぶりを見せた。

「んで、どこまでしたん?」

「お触り。」

「えっちぃ~!」

「聞いといてそれ!?」

「いやいや、生まれたままの姿で重なってなくてよかったよ。…てことはあれか?押し切れそうな感じ?」

「頑張ればいけないかな。」

「イケイケ~♡相手に考える隙を与えちゃいかんよ。好きな人のことが少しでも頭に過ぎったらもうアカンから。」

「そんなこと…、わかってますよ。」

 しかしどうにもタイミングが悪い。部活前に行動したのが良くなかったが。

「常にときめかせることが出来れば、楓ちゃんを超えられるかもよん♪」

「簡単に言いやがりますね。」

「だって俺はそれで愛を勝ち取った・・・・・・・・・・し?」

 経験者は語る、というやつか。部長は略奪愛に成功した彼女と付き合いが長い。

「よく大人相手に・・・・・勝てましたよね。」

「若さゆえの強みってやつ?やっぱ勢いが大事よ。」

「ぶちょーは勢いだけに見えるけど…。」

「ナニカ言イマシタ?」

「…言ってないっす。」


***


 部活が終わると俺はすぐに制服に着替えた。

「あ、明楽―」

「ごめんなさい!俺用事があるのでお先に失礼します!」

 誘われる前に断って、逃げるように部室を出た。

「お触りNGだってよw」

「うるせぇっ。」


 部室を出てからは追いつかれないように全速力で校門に向かった。

 途中生物の吉田先生にぶつかったが、誤る余裕もなくそのまま走り抜けた。

「いたた…。石井くん、あんなに急いでどうしたのかしら?」


(断るどころかもっとヤバイことされた!!!)

 もはや一人で抱えられる問題ではない。芽久美…、恋愛マスターに相談せねば!

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