第25話 判明

 思いっきり突き飛ばされた俺は、近くにいた選手も巻き込んで倒れた。


 ピピー!!


 けたたましくホイッスルが鳴り、試合が中断した。

「7番、ファウル!」

「アキラたん!大丈夫!?」

「部長。」

 急いで駆け寄ってきたのは部長だけでなく逸先輩もだった。

「だからもうあいつに付くなって言っただろ!」

「すみません…。」

 手を借りて立ったが、右足の痛みで重心がよろけた。

「部長、俺がこいつと交代します。」

「…あいよ。」

 逸先輩がコートに入り、俺はベンチにいた他の選手に支えられながら下がった。


「よくも可愛い後輩を突き飛ばしてくれたな。」

「はっ。こうでもしなきゃ出てこなかったっしょ。」

 俺の居る位置からは遠くて会話は聞こえないが、先輩と7番の間でバチバチと火花が散っていることだけは分かった。

 試合が開始され、部長がスローイン。パスは逸先輩に繋がれた。

「今までの借り返してやるよ!」



 試合は結局67対15で相手チームの圧勝だった。

「明楽、巻き込んで悪かった…。」

 控室で着替えていると、逸先輩と部長がやってきて頭を下げた。

「ほんとですよ。」

「…ごめん。」

「なんで詳細教えてくれなかったんですか?」

「え?」

「俺、一人だけ蚊帳の外で訳も分からないまま7番に付いてた。それで7番がキレたんですよ。」

「……。」

「巻き込むならちゃんと説明してくれないと困ります。」

「アキラたんの言うとおりだった、ごめん…。」

 ひょうきんな部長も、珍しく反省している様子だった。

「…で?あの7番は何者だったんですか?」


「僕が教えてあげるよ。」


「!」

 いつの間にかご本人が登場していた。

「なーんかおかしいと思ったら、彼に何も話してなかったんだね。」

 つかつかと俺の前まで歩いてきた彼は、座っていた俺を見下ろした。

「しかも手負いを僕につけるなんて。舐め過ぎでしょ。」

「…スグルっちと対面させたくなくてね。でもだからってアキラたんをいじめ過ぎじゃない?」

「喧嘩吹っ掛けてきたのはそっちでしょ。わざわざ癇に障るようなことして。」

「俺はアンタに対応できるのがアキラたんだけだと踏んだから指示しただけだよ。」

「まぁ、確かに一年の割に動きよかったかもね。でも僕が怒ってるのはそこじゃないんだけど。」

 全く話が読めない。未だ取り残されてポカンとしている俺に気づき、逸先輩が説明を始めた。

「こいつ…山路翔琉やまじかけるは、俺の中学時代の同級生なんだ。」

「そ。それでもって元彼氏。僕としては、別れるつもりなんてさらさらなかったけどね。」

「かっ……!?」

(彼氏!?!?)

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