第24話 7番
その後も点を入れられ続け、35対0という痛々しい試合運びとなった。
「ぶちょー、明楽に付かせるのやめてください!」
俺の足はテーピングだけでは補えないくらい腫れていた。
「…でも、このままじゃアイツの独壇場だ。」
「負けたっていいじゃないっすか!楽しむのが俺たちのモットーでしょ。」
「……。」
「あ、あの…俺、まだいけます。」
「明楽。」
「部長にとっては残り少ない部活動だし、後悔してもらいたくないですから。」
「アキラたん…。」
ハーフタイムぎりぎりまで足首を冷やし、再びテーピングをきつめに巻いた。
「石井くん!」
振り向くと瀬戸さんが立っていた。和花ちゃんは他の選手たちに差し入れを配っている。
「足、大丈夫…?」
「う、うん。先輩たちにとって大事な試合みたいだし、頑張るよ。」
「…大事っていうか、あれは意地を張ってるだけ。石井くんが無理する理由はないよ。」
「どういうこと?」
「うーん…因縁みたいな感じかな。詳しくは、私の口から言っていいのか分からないから黙っておくけど。」
「因縁…。」
「とにかく、選手生命を脅かす行動だけはしないようにね!無理に
「捨てる!?」
逸先輩の諦めといい、引っかかることが多い。因縁ってなんだ?
(先輩と7番との個人的なことなら、なんで部長までムキになってるんだ?それに瀬戸さんも何か知っている風だったし…。)
もやもやが晴れぬままハーフタイムは終了し、第3Qが始まった。
「まーた僕に付いてるの?懲りないねw」
「先輩と部長のためです。」
「ふーん?じゃあ君は僕のこと知ってるんだ。」
「失礼ですけど知らないですっ。」
ぴったりマークしつつ会話を続ける。
「俺があなたに付いていることで何かしら因縁が断ち切れるならそれはそれで!」
「ウザ。」
「えっ。」
さっきまでニヤニヤしていた7番はいきなり表情を変えた。
「こんな奴に
(負けた?何のことだろう?)
疑問符で頭がいっぱいになったが、今は試合に集中だ。ジグザグにガードを抜けようとする7番を追いかけ、パスをカットした。
「邪魔なんだよ!!」
7番は思いっきり俺を突き飛ばした。
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