第17話 好みのタイプ
4人で暫くワイワイと話した後、先輩の提案でカラオケに行くことになった。
「カラオケとか久々だなぁ。」
「楓はあまり行きたがらないもんな。」
「カラオケ、嫌いなんですか?」
「嫌いじゃないよ。ただ…人前で歌うのに慣れてなくて。」
珍しく瀬戸さんは苦笑いした。
「こいつ、こう見えて恥ずかしがり屋な所あるから。人前で目立つようなことしたがらないんだ。」
「そうなんだ…。」
また一つ瀬戸さんの知らなかった姿を知ることが出来た。喜んでいることが顔に出ていたのか、隣りにいた芽久美に小突かれてしまった。
「俺、明日バスケの試合があるんだわ。良かったら二人応援に来てくんない?」
逸先輩はワタシと芽久美に向かって笑顔を振りまいた。
「ごめんなさい、明日は部活があって。」
「ざんねーん。明ちゃんは?」
「わ、ワタシも用事が…。」
「逸だってたらしてんじゃん。」
「俺は男だからいーの。」
「…逸先輩は男女の区別をはっきりさせたい人なんですか?」
前々から気になっていたことを聞いてみることにした。
「そうかもなぁ。ちっちゃい頃から男は男らしくって育てられてきたから。でも、別になよなよした男が居たって良いと思ってる。」
「へぇ?」
「守ってやりたくなる感じっつーか?俺の後輩にも一人いるんだわ。可愛いやつが。」
「それって、明楽のことですよね?」
「はは、そうそう。なんかあいつ可愛くね?」
先輩の意外な発言にワタシは面食らってしまった。
「逸も可愛いとかって感情あったんだ。」
「あるわ!俺は守ってやりたくなる子が好きだから。」
「だからって私にも女の子らしくしろって言うのは違うと思うんだけどな。」
瀬戸さんは先輩に少し毒づいた。
「私は女を捨てたわけじゃないけど、女の子らしくは出来ないししたくない。」
「勿体ねーなぁ、見た目いいのに。」
「大きなお世話。」
やはり瀬戸さんも、「女性は女性らしく」と言われるのは好きじゃないようだ。
「…楓さんは、どんな人がタイプなんですか?」
以前先輩に聞きそびれた事を本人に聞いてみた。
「どうだろ、今まで恋愛したことがないからよくわかんないな。」
「そっか…。」
「でも、強いて言うなら逸みたいな自分の価値観を押し付けてこない人かな。」
「悪かったな、押し付けて!」
「あはは。でも逸も私のこと最初から恋愛対象に入れてないでしょ?」
「まぁ…。」
「じゃあいいじゃん。」
「でも何となくやだわ!」
「ねー、いつ歌うの!?」
ワタシ達の会話にしびれを切らした芽久美がマイクを振り回した。
「あぶなっ!ちょっと、マイク振り回さないでよ。」
「時間もったいないでしょっ!さっさと歌うよ!」
デンモクを見たら、既に何曲か入れられており、気づいたらアニソンが流れ始めていた。
「…西原さんって、アニメ好きなんだね。」
「うん、芽久美は魔法少女系が大好きなの。」
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