第16話
《一死》side
「殺華を殺す…?」
「私の為だ」
「…一体どうするんですか?」
“皐月未”の《死奇》が海外に行き、“皐月未”の最強は《殺華》。
そしてどこの組織からも知れ渡れている、
殺華の通称:「冷酷殺神軌」
・自分の
↑ここから「冷酷」
・神に愛された殺華は殺す為に斬り方を授かった
↑ここから「殺神軌」
と、そんな意味不明なことから名づけられた。
しかし、私ら協会が協力し合っても、殺すのは難しいだろう。
その前にうまく逃げられたり、証拠もみ消すだろう。
どうすればいいのか?
この《笑魅》さんの
《殺華》も止めるには?
とりあえずは、
「分かりました。とりあえず刃さんに報告します」
「分かった」
プルルルル プルルルル プルルルル
「なんだ?殺華に動きでもあったか?」
「ええ。それに近いでしょう」
一度息を吐き、気持ちを落ち着かせた。
「殺華が《笑魅》さんの娘を殺しました。今、地下三階にいます。
今後の動きについては《笑魅》さんに聞いて下さい。俺は殺華を追います」
「情報をまとめるのがうまくなったのぉ」
「それほどでも」
それでは、と電話を切った。
《笑魅》さんに至急、協会本部に帰り、状況報告をするよう促した。
《殺華》(陽友都) side
「先輩、これからどうするんですか?」
「ある人のところに行く」
「ある人…?」
「海外に行く」
「は⁈海外⁉逃亡ですか⁉」
「バカか!」
そう言って、
「痛ぃ…じゃあ、なんですか?」
「師匠の兄。お前からすれば、『叔父』に当たる人だ。その人に会いに行く」
「叔父さん…」
やはり違和感しかないのだろう。
今まで、《死見音》としか居なかったのだから。
「んじゃあ、急いでおまえの分と俺の分のパスポートを用意してくる」
「私もですか…?」
「何を言っている?当たり前だろ?」
「…」
「五月雨?」
「…」
名前を呼んでも反応しない。
「和灯?」
「ええ!はいっ⁉」
和灯の頭をぐしゃぐしゃした時、やっと反応した。
「なんですか⁉」
「お前が呼んでも反応しないからだろう?」
「それは!…すいません…」
「とりあえず、お前の分と俺の分。パスポートを用意する」
「はい」
《五月雨》
先輩に頭、くしゃくしゃされた…
なんか、うれしいような……
馬鹿言うな!私は恋する乙女じゃあるまいし!
それより、私は恋なんかしてられない。
母を殺された。その殺した相手を殺すまでは…!
てか、先輩の行動一つ一つにビビるんですけど…?
これは恋じゃない‼絶対‼
《殺華》陽友都side
* * *
―――飛行機にて
「パスポートあるか?」
「だ、大丈夫です」
麻薬とか持っているわけじゃあるまいし、もっとラフになれば良いものの…
こんなド緊張状態じゃ、怪しまれる一方だろう。
「五月雨、ここではカップル設定だ」
「へぇえあ⁉」
いきなり大きな声を出した五月雨に驚いた。
「すみません。…けどなんて?」
「もう言う訳ないだろう?」
「な?
そう言って笑顔を出した。
呼び掛けたはずなのに、反応が無い。
「由菜?」
「ん?何?
か、かわいい…
身長差もあって上目遣いなんですけど…?
マジで目が痛い…
これで、俺の名前で呼ばれたい。
っ―――…!!
俺は何を考えているんだっ!
コイツは部下だろ⁈
“皐月未”は恋愛禁止‼‼
コイツから目を離せ‼‼
「結城君?」
俺が和灯から目を背けた為か、それをのぞき込むように顔を出した。
―――女優かよ!
だからっ‼
一度深呼吸をし、この昂りを抑えた―――つもりだった。
「ねえ、結城君?」
「結城君?バックの中何入れた?」
「こっちでしょ?もう」
「なんか飲み物買ってこようか?」
普通の会話―――普通の会話だからこそうまく話せなくなった。
「んだよ。調子狂う」
「ん?何が?」
何もかも
こんな気持ちの混乱を知らない和灯は楽しそうだった。
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