第13話



コンコンコン


「入れ」


「失礼します」


目の前にはお偉いサンばかりだった。


「本日はどのような案件でして?」


「しらばっくれるな」


「はい?」


「死見音の事だ」


死見音、どこだよ。


「死見音がどうかしましたか?」


「だから、今死「もう良い」


ッチ。あと少しでコイツから情報が取れたのに。


「いま?」


「《殺華》、励みなさい」


釘さして来たか。


「もちろんです」


そして、お偉いサン達に背を向けた。


お前らを




殺す




「失礼しました。また何かあったらお呼びください」


そして、顔一面に笑顔を張った。


「ああ。殺華、死見音が死んだという報告が来た。何か知らんか?」



今ここで聞くことか?普通今じゃないだろう!


「え?死んだ?死見音が?」


わざと何も知らない風を装った。


「そうか。それならよい」


「待ってください!なんで死見音は死んだんですか?」


「下がれ」


一番位の高い役職を持つ老人に命令された。


「すみませんでした。また何か分かったらお教えください」


「もちろんじゃ。お前は死見音の弟子やからのぉ」


「ありがとうございます」





重々しい扉とともに、死見音の人生は幕を閉じた。



* * *


「―――というのが俺と死見音の物語時間だ」


「そう…ですか」


「俺は強い奴を探していた。こういう衝動に駆られるのは良くないが、

殺された家族の人が俺たちに頼る感情も分かった」


「復讐ですか、」


―――復讐


「名を付けるならばそうだろうな」



「貴方のの復讐、私が依頼します」



少しの間を破るかのように和灯なおが言った。


「は?」


「だから貴方の復讐。私が依頼します。条件付きで」


「死見音は!お前の母は、お前を「巻き込みたくない」


それは解っています、と言葉を吐き、俺を真っ直ぐ目で捉えた。


やめてくれ。



お前の瞳はあまりにも




死見音に似すぎていて





死見音が居るのではと










期待してしまう。




「やめろ。お前まで失いたくない」



もう二度と。



「失う。…もう自分には失うモノなんかありません」


そう言って、顔を落とした。


「俺失う、お前を。それが怖いんだ」


「あまりにも、自分勝手すぎます」


でも、と呟き顔を上げた。


「ありがとうございます」


その台詞は俺には言っていない。

そう思ってしまい、和灯の体を引き寄せた。


「ちょ、先輩⁉」


「少しだけ、少しだけだ」


すると、和灯は俺を押していた手を引っ込めた。


「今夜は満月です」




「俺は見たくない」



「そうですか…母もきっと喜ぶことの無い依頼をしてしまいました」



心配事なんか和灯の前じゃ、







忘れてしまう。








ただただ、



お前を思い出す。



お前が俺の唯一の師匠だ。




そっちで自慢してるか?




俺がすごいって



お前のも。



やっと受け入れられた。


お前が居ないことを


信じたくなかった。


けど信じたさ。



成長したろ?



お前の休み時間、



酒でも飲んで見てろ。



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