第9話

???side


「や、殺られました」


嬢雨じょうどうしますか?」


虚勢を張っているだけでこいつらが今にも泣き出しそうだ。

あたしがここを任されたんだ。




全て守る、



はずだった。



なんだよあいつら!

こっちは15人人は出してんだぞっ!

たった2人で、ックソ!


あれが《殺華》とか云う『冷酷殺神斬れいこくさつじんき』。


神が与えた武器。これが最も近いことから名付けられたって……


んなこったぁ、どうでもいい!





今は、






「先にあたしとCLOVER《くろーばー》の2人と一葉かずはの3人が地下2階へ上がる。その他の奴らはここで…」


言葉に詰まった。


“足止め”


つまり、ここで死ねと言っているのも同義だ。



「嬢雨、」


「ここで死ぬか、逃げるか。はたまた、裏切るか」


こいつらの死は少なくとも自由だ。


「嬢雨、その優しさは―――」


「黙ってろ。一葉のくせに」


CLOVERの一人と一葉のうちの一人が言い合いを始めた。



「お前らが死ぬ訳じゃない」



これは『お前らが死ぬか?』問いているようなものだ。


これの意味が分かったこの場にいる奴らはすぐに黙ってくれた。




あたしの一言はそんなに重要じゃない。

これが当たり前の世界。


ここの現場を任せてもらった代わりには守らなければならない。


「嬢雨、俺らの事は嬢雨あなたを守ることです。この命、お好きなように」


そう言って、あたしの前に膝をついてくれた。




「ここを任せた」




この言葉だけを残し、後ろを振り向くことなくこの場から離れた。

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