第8話
* * *
「《
「ゔっ」
「自信ないんですか?」
あまりにも静かで人がいた痕跡もないことから自信がすり減ったのだ。
「自信は…少し……ない。《
そう言って、《五月雨》の口を塞いだ。
ここは地下1階。音が響きやすいのだ。
だから、
「でさぁ、そいつがぁ」
いた!2人!これで―――
「ミッケ!」
俺が準備しようとしてる間に、《五月雨》が口を開いたのだった。
何やってんだ、あのバカ‼
「至急、地下1階。南階段方向の会議室へっ!!」
こういうことになる!見回りの時、何かあった時のために無線機があるんだよ!
「バカ!」
咄嗟に《五月雨》に対して叫んでしまった。
「2人!2人発見ですっ!!急いでください!早く!がはっ!」
先に伝えられる前に倒そうとしたが無理だった。
一応やってみるか…期待はできない。
「すいません!なんか人影が2つ見えて。焦ってしまいました!さーせん!」
「ちゃんとしろやぁ!お前、2度目はないぞ?」
「はい!さーせんっした!」
倒した男の声に似せてみたが、これは…できてないな。
そしてそれを裏付けるかのように、やはり階段から足音が聞こえた。
「いた―――!がっは」
俺が倒しに行く前に、階段から近くの死角になるところで待機していた、《五月雨》が倒してくれたのだった。
「悪いな」
「その前に私が飛び出していったから…すいません」
「確かにな。でも名誉挽回じゃねーか」
そして、敵に気を付けながら階段を上っていた。
1つ1つ部屋の中を見ていったが、人がいる形跡がない。
なのに、違和感しかない。
「《殺華》さん、なんかおかしくありませんか?」
コイツもか……
「なんかがおかしいが、分からん。何がおかしいのか…」
2人してうーんと唸っているが、一向に分からない。
「なんか生活臭はするんですけどね~」
生活臭……あぁ、そういう事か…
「分かった。埃が無いんだ。あと、湿っぽさが」
「湿っぽさ、」
「窓を開けることで、換気ができるだろ?そこで中のジメジメ感が外に行く」
「そのジメジメ感がないと?」
その通り。
簡単な事だが完全に見落としていた。
「じゃ、分かりました!ここのどこにいるか!」
「は?」
すると《五月雨》が突然走り出し、次から次へと左に行っては進み、右に行っては引き返したり。
まあよく分からなかった。
すると突然止まってある扉をノックした。
コンコンコン
「こんばんわ、ここですよね?夏秋さん」
すると、《五月雨》が一歩後ろに下がり、足を大きく振り上げた。
「おいおい、まさか」
ゴォン
《五月雨》が足を下したのと同時に、鈍い音ともに扉が倒れた。
「イェイ!あたっり~」
少し扉から離れていて見えなかったが、《五月雨》が「あったり~」と言うなら、ここに夏秋さん達がいるのだろう。
「皆、行けェェェええ‼‼」
中から甲高い声が聞こえた。
―――女?
すると、扉がなくなった部屋からナイフや鉄パイプを持った奴らが出てきた。
「りゃあぁああ‼‼」
ある一人の男がこちらに向かって来た時に気づいた。
「《五月雨》‼こいつらは囮だ!」
「え?」
何人も相手にしている《五月雨》には聞こえない。
「ッチ。こいつら一体何人居んだよ」
“黒い武器”
これが見えた時、
「やらかした」
本当に思った。
先に相手の武器を確認する。そして人数。
見ていなかった。
黒い
「《五月雨》‼‼」
何も見えてない《五月雨》は俺の方に走ってきた。
「来んな馬鹿っ!!!」
大きな声で叫んだ。
だが、意味が解らないと言わんばかりの顔で、足を止めた。
そんな所で止まんな!!
近くにいた倒れていた人を《五月雨》に投げた。
人が飛んでくるとは思わなかった《五月雨》は、後ろに下がり、それを避けた。
ダァン
「え?」
放った弾は《五月雨》に当たることなく、コンクリートの壁にひびを入れた。
「ッチ!」
銃を持っていた男はすぐに部屋の中に入った。
それより、
「《五月雨》‼‼」
放心状態の《五月雨》を起こし、ケガがないかと尋ねた。
「一応大丈夫です」
そして、銃を持っている敵がいるからと注意喚起をし、すぐに他の敵を倒しに行った。
銃持ち、何か知っているかもしれない。
聞き出さないといけないな。
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