第3話
今日はアイツが言っていた集合の日だ。
昔と変わらない。俺が連れてこられた場所だ。
未だに慣れないんだよな。この空間。
ざわざわした空間が静かになるのは《
「今から始めるぞ~」
《尋》さんは殺しに関係する名前が入ってない人だ。何か関係があるのか、気になるが聞くことはない。皆他人に情報を流すのを嫌うからだ。
「何人かは聞いてるかもしんないが、新しく入る奴がいる。まあ、俺の隣を見ればわかるだろうが…」
「《
集まって居た奴らが騒ぎ出した。
「オォイ、オォイ?女に務まんのかよ?」
「かわいいわ~。お前狙えば?」
「すました顔してやがんな~」
結構ひどいな。俺の時より…ましか。
俺は口を開けた。
「試験が物語るんだろう?そうしたら、試験の点数と何回受けたか聞いてみたらどうだ?」
「え?試験って…一回だけなんじゃ?」
彼女はまるで何も知らなかったかのよう呟いた。
「ってことは彼女は一回しか受けてない…ちなみに点数は何点は?」
彼女 《五月雨》に問いかけた。
「百点って帰ってきましたけど…?」
「「嘘だろ⁉《
皆が驚きを隠せていなかった。
「いやけど考えろよ?《殺華》さんは14歳で百点だ。こいつは19
「…それより《五月雨》の指導者がだれになるかが問題だろ?な、《尋》さん」
「俺のセリフを毎回毎回…俺立つだけでいいんじゃないのか?」
アハハ・・・アハハ・・・ハハ・・・・・・
「どんな人がいい!とか同性がいい!とか希望はあるか?」
尋さんは最初俺にも聞いてくれた。その理由を聞いたら面白かったなあ。
「強い人」
「なんて言った?」
「強い人がいいです。性別なんか関係なく!」
?
「どうして強い人にこだわるんだ?」
気になることを聞いた。
「女だからです。女は何も出来ない訳ではありません。それを証明するんです」
そういう事か。…誰かに何か言われたのか?
「あのすいません。《殺華》さんという人がすごいんですよね?話の限り」
「ん~。すごいんだけどね」
目配りしないでくれ。尋さん。
「あなたが《殺華》さんですか?」
ほら~。尋さんの目配りに気づいたんだろうに。面倒事押し付けないでくださいよ。
「ああそうだ。けど、俺は指導できないぞ?教えんの下手だしな」
「それでもいいです」
「君の成長に繋がらない」
「私は見て吸収します」
このやり取りを見ていて周りの奴らは思った。
“頑固者同士なかなか折れねーな⁉⁉”
結局この二人のやり取りは10分程度続いていた。
そして折れたのが、彼女ではなく、俺だったのだ。
「その代わり、教えるのは下手でも何も言うんじゃねーぞ?」
「それは勿論」
まだ不満がある俺は何度も聞き直した。
「お、《殺華》が折れたんだな~?」
「尋さんが目配りさせるから!」
「わりーな。昔と同じ手ェ使ったわ」
それは―――――
* * *
「なんであーゆー質問したんですか?」
「ああ、あれは俺自身が指導者候補から外れる方法なんだよ」
「意味が分かりません」
「相手に質問することで、まず辺の人を探すだろう?そしたら、約9割は俺以外を指名するんだよ」
「じゃあ俺はまんまと引っかかった訳ですね」
「ま、ガキンちょらのご機嫌取りは面倒臭いんでね」
* * *
という、14歳にして大人の悪知恵を知った時だった。
「あ、今からでも変えるか?指導者。《尋》さん強ェし、教えんのうまいぞ?」
「大丈夫です。あなたのほうが面白そうです」
「うんぐふふっ!!」
尋さんが笑ったのだ。
「《尋》さん…俺って珍獣ですか?」
「ある意味珍獣で良いかも知んないな…ンぐふっ」
尋さん笑いすぎ…俺何処にでもいそうな奴だと思うけどな。
そして“皐月未”の集会が終わった。
「お前、どうせアイツ―――古刹から聞いてただろ?彼女の点数とか。あ、あと一つ。《殺華》
今いる場所の下に行くのか…
――あそこジメジメしてるんだよな。
目の前に片目に傷を持った男―――冷刹様が現れた。
「お久しぶりです、冷刹様」
「久しいな。
「冷刹様、その名は――」
「そうだったな、《殺華》」
「ありがたく存じます」
「新しく入った奴だが誰の指導下に着いたんだ?」
乾いた笑いを出し、答えた。
「大変申し上げにくいですが私が指導者になりました」
「殺華がか、」
「俺なんかにできないんですけどね」
「大丈夫だ。儂の前で倒れなかった。それ以上に今もこうやって話せているんだしな。いつか敬語も崩せるといいんだがなぁ」
「無理ですよ。俺はあんたが仲間にしてくれた時、父親のように感じてしまったんだですから」
「まあ、良い事なのか、悪い事なのか。だが、《殺華》ぐらいだな。そこまで崩して話してくれるのは」
「ありがたいです、またお呼びください」
そして、今日の集会を忘れるよう目を閉じた。願望を乗せて、
――あの女も忘れたい。
と。
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