第2.5話

* * *


昨日の殺しの報酬を受け取り、家で小説を書いていた。


プルルルル


「なんだ?血刹ちせつ?」

血刹は俺の組織の同僚でもあり二人とも昔からの友達だ。

『なんだじゃねーよぉ。お前なんで殺し屋やってるくせにこんなにいい小説書けるんだよォオオ』


「知らねーよ!俺に聞くな!」

『俺も小説書いてるのにこんなに差ができるんだなぁ。うぇーーん゛』

「はあ。もう切るぞ?じゃあな」


ガッチャ プーップーッ


俺が加入している組織は“皐月未さつきみ”。

俺が入った理由―――


* * *


「何度目だ?お前は何しとけばいい点数が取れるんだぁ?」


先生から親から、もううんざりだった。

勉強が将来の全てか?


俺は兄が優秀だった。今、政治家の凄い人の秘書についているらしい。

姉は勉強の成績はまあまあ。だがそれを支えるかのよう、身体能力が高い。次のオリンピックに出れるらしい。

その家庭に生まれた落ちこぼれ、それが俺だ。


まあ、特に不満となかった。逆に今の生活に満足していた。

彼女もいて、友達もいて。逆にどこに不満があるのだろうか。


だがしかし、満足が消えたら?

その満足が消えたとき俺はどうしただろう?


親に全てを奪われた時、失望しか感じられなかった。

そして俺もそれを奪うのよう、親を殺した。

この事件は公にはなっていない。

なぜなら兄の上司である“権力者政治家”を使って警察にもみ消しを願う事しかできなかった。


……ちょっと違うか。

まず、政治家のSPを殺した。

政治家が腰抜かして、そこでお金を要求して、400万貰った。

その後、政治家の携帯を使って警察の刑事局トップに400万を渡した。


「無理だ」


その一言を聞いた瞬間体が動いた。


「無理だ。話を聞け」


首をつかんで壁に押し付けた。

すると、どっかに隠れていたのか。がたいの良い奴らが5人俺の周りを囲った。


「俺を殺してみろ。その後、お前なんかにこいつらを殺せるか?」


首を絞められながらも刑事の奴は笑った。

―――煽ってんのかよ。


先に、コイツ殺ったら周りに殺される。

折りたたみナイフしか持ってねーし。近距離戦…体力持つか?


で結局、時間はかかったが全員殺すことができた。勿論刑事の人も。


そのまま警察署から出た。すると女の人が現れて言った。


「君ィ、イイ感じじゃん!何人殺したぁ?どう思ったぁ?」


誰だろう?


「誰ですか?何で殺したことを知っているんですか?」


「うん!感情の安定もよし!冷静さを保っている!」


は?何が?


「おいで。君の居場所が見つかった」


特にこの後行く場所もない。結局俺が殺したことがばれるだろう。


「殺したこと隠せるのか?」


「んー。君がついてきたらいいよ。陽友都クゥン?」


なぜか名前を知っており、笑われた。


「じゃあ、付いていきます。だから隠してください」


「いいよ。車に乗りな?」


車の中で聞いた。

・貴女の名前

・なぜ名前を知っているか

・どこに連れていかれるのか


すると答えが返ってきた。

この人の名前は死見音しみねという事、俺の名前は調べて知ったこと、今から行く場所は内緒だという事。



そして連れていかれた場所がどこかの地下っぽい所だった。


そして仲間になれば、殺したことを隠蔽してくれるらしい。


そりゃもちろん仲間になった。


その後、死見音に殺す稽古をつけてもらって、試験に一発合格した。100点満点で。

結構頑張った。いや、死見音の稽古がスパルタすぎたせいだ。


そしてこの組織の設立者でもあり、最高の殺し屋だった冷刹様に会って実感した。


“本物の殺し屋の威圧感”


足が震えていたかもしれない。だが普通の大人でも腰が抜けるらしい。

だから、立っていたこと自体を誉められた。



それからは、結構冷刹様に気に掛けてもらえた。


そして、任務をこなしていき、名を上げることができたのだ。


* * *


自分で言うのもなんだが、僅か14歳にして親を殺した。

3カ月ちょっとで名を上げたことに対して褒めて欲しい。

それから18歳で皐月未さつきみ全体の信頼を得られた。


そして今現在、20歳。


俺はまだまだ、任務殺しを頑張る。


そんなことを思いながら小説を書く手を進めた。

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