第2話

陽友都side


カフェに寄りアイツから集合の知らせを受け取った。


しかし、アイツが言っていた組織に加わるやつのことを迎えるのか?

一体、冷刹れいせつ様は何をお考えで……


まあ……これは俺が考えるべき案件ではないか。


余計なことを考えるのを止めるよう首を横に振った。


俺は戸々北陽友都。この名は嘘の名だ。

だが、陽友都という名は本当の母に名付けられ、よく使う。

本当の名は嘘の名に紛れ込ませるのも1つの偽る手段としてある。


そしてコードネーム《殺華さつか》とは。

俺は裏で殺し屋を、表で小説家として働いている。

なぜ小説家か。それは顔を出さずに、本を書き続け出版し、普通の人と変わりなく過ごせると思ったからだ。

そして読み通り、多分警察に目をつけられていることは…無い。


夜、俺は何もなかったように眠りについた。


* * *


はずだった。

だが、鳴る事のない電話が今鳴っている。

今は…1:28か。


俺は覚悟を決め電話に出た。


『《殺華》様であっておられますか?』  


「そうですが。誰ですか一体?」


『急ではありますが、今から向かってもらう《御仕事殺し》を入れても?』


「んまあ、報酬とか人によりますけど…それでもいいなら話だけでも聞かせて下さい。」


『ファマナ会社の副社長。“雉知きじち巧一こういち”社長の弱みを持っており、自分がやった悪をその金を使い、隠蔽をしているんです。…そして、私は。その権力により家族の死を隠蔽された……1家族の父親です』


そう諦めた雰囲気で泣いた声で言った。


「―――……お引き受けします。《殺華》の名に懸けて」


『ほんとですか!ありがと――』



ガッチャ プーップーッ


俺から電話を切った。

―――アアアアアアッッッ!!


やっちまった。自分で言うのもアレだけど、俺はお人よしすぎる!


まあ、やるといった限りはやるか…


* * *


2:00丁度。


ファマナ会社の社長室にいる。

先ほどファマナ会社の井田いだ社長の携帯で副社長である雉知巧一に電話で言った。


「今早くファマナ本社の社長室に来てください。あなたの隠蔽工作の道具がいなくなりますよ?」


するとものの数十分でやってきた。


思ったより早いな。


「しゃ、社長は?」

「隠蔽工作道具さんは殺しましたけど?秘書室見てきたらどうです?」


急いで秘書室を見て膝から崩れ落ちた。


「終わった。俺は……ップ。なーんてね?」


俺を舐めてんのかよ。

「守ってくださぁい!俺の殺し屋さん!」

呼んだところで無意味。もう殺してる。


ナイフで首に一刺し。呆気ないな。


「じゃ、来世はダニにでもなっておきな?」


悪人に対してのお決まり文句。笑い声を含んだ声は人知れず闇に消えた。


* * *


はあー。あんまり眠れなかった。

テレビを付けると早速やっていた。


『昨日、ファマナ会社の社長、井田郷士いだごうし氏と副社長の雉知巧一いじちこういち氏が殺されているのが見つかりました。どちらも首に縦にナイフの跡があったということです。警察はこの事件を殺人事件として扱うとともに、雉知氏がやっていたことを、井田氏が隠蔽工作をしていたことを明らかにしました。』


ふー。一件落着と。


プルルルル


『もしもし?殺華様でございますか?昨日の―――』


立崎遵たちさきじゅんさんでしょう?…一体誰からこの電話番号聞いたんですか?」


 『が言っていた通りです。突然電話が来て、“悪は滅されるべき。殺華に貴方が殺るべき薔薇がある”と言えばいいと言われて、電話番号をおっしゃられました。藁にも縋る思いで電話させて頂きました。報酬は○○駅のロッカー、209に80万入れておきます。あり―――』


「俺は感謝を受け取らない。だが、報酬は頂く。」


ガッチャ プーップーッ


あの人って誰だ?…まさか。ま、なんてそんなことないだろう。


疑問を持つことを捨て、陽友都は2度目の眠りについた。

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