第14話 ワールドボックス=王国
【ここはかつて古代王国が栄えていた場所だ。君はその島の中で眠っている。君のスキルにワールドボックスというものがあるだろう、そこには2億5千万という人々がいるのだろう、ワールドボックスの中の世界は外部の敵の心配もない、しかし普通の自然ではない、作られた空間だからなぁ、それで僕は提案したい、この島を発展させ、ワールドゲートを設立する事をね、もちろん君はワールドボックスを利用し、ワールドゲートでワールドボックスの住民に自由を与えたらと、ほとんどが魔王と竜王のせいで死んでいったものたちだ。君が殺した事になったおかげで蘇ったようなものだが】
俺の中で俺自身の神様が色々な事を提案してくれる。
まるで子守唄のように響き、その自分自身の神の少年っぽい声から、いつも聞いてきた女性の声に切替わっていく。
「あなたはいつまで寝ているのかしらね、まったく」
「あ、うん、すまない」
俺はゆっくりと目を開けた。
「最近、徹夜ばっかりだったからさ」
「それは仕方ないわね、まぁ理由は聞かなくてもわかるわ」
「それはよかった。ここは」
「ここは遥か昔古代文明が栄えていた所ね」
「俺は知らなかったけど」
「私も知らなかったはずなんだけど誰かから教わった記憶があるのよ」
「へぇ」
「ここなら安心して生活出来るわね、フレンダイサー」
「だな、そだそだ。この島を盛り上がらせる方法があるんだよ」
「それはなんだ」
俺はレイファにワールドボックスというスキルの話をした。
そこに2億5千万の住民がいる。約3000人以上の英雄達もワールドボックスに住んでいる事を教えた。
英雄達は現実世界に居続ける事が出来ず、ワールドボックスの世界で休憩する必要があった。
しかしその他の住民については例外であり、魔王と竜王達の流れ弾攻撃により死亡した人達、彼等は俺が殺した事により蘇った。
これは俺の呪われたスキルのおかげでもある。
殺した生物を使役する事が出来るという奴だ。
これはドラゴンの子供のペラーの呪いだ。
「そういえばペラーは」
「あの子なら見ないわね」
かつて箱舟と呼ばれた村のような街から俺達は脱出した。
あの時は咄嗟すぎてペラーがどこにいるか確認しなかったけど。
「大丈夫、あなたが空気ジャンプしてる時にペラーなら掴んでおいたから」
「さすがレイファ」
俺の話をじっと聞いてくれていたレイファはこくりと深く頷いてくれた。
「そのあなた自身である神様だっけ? 名前つけたらどうなの」
「名前か」
「ならさ、ダレンダーなんてどうかしら」
「それはいいかもしれないな」
【とても気に入りました】
「それでワールドボックスとかつて古代文明が栄えた島についてだけど私は賛成よ」
「助かるよ、問題はどこにワールドゲートを設置するかと言う事だが。
【真上から見たら、ざっと1万人以上は住めるでしょうし、木材、石材などなど豊富のようです。湖だから水には困らないだろうし、魚も豊富そうです。島の真ん中に古代文明が朽ちた建物があります。そこに設置するのがよろしいかと】
「さすがだな」
【まぁ、出来る事には限りがありますがね】
「助かたダレンダー、レイファ歩けるか、ちょと坂道になるが島の中心部に向かう」
「了解だ。ずっと君を膝枕していたから、足が固まってしまったようだ」
それから数時間くらい歩いた。
この島は結構な大きさなのは確かだ。
行く手を木々が邪魔をして、なかなか登る事が難しかった。
虫や動物が結構おり、自然環境としてはとても素晴らしい場所のようだ。
風化し崩壊した建物が見えてきた。
建物は屋根はあるものの色々な所が崩れていた。
大きな広場を見つけた。
まるでかつては商店街だったような場所だ。
そこにワールドゲートをイメージする。
【ワールドボックスをイメージしてください、何もない世界から脱出した事を想像するのです。あの時あなたは生き返りたいと思いましたね】
「ああ、ダレンダー、君の言わんとしている事は理解出来る」
空間に手を突っ込む。
思いっきり引き裂くように両手で開く。
その空間は虹色の淡い光に包まれていた。
ワールドゲートはワールドボックスと違い、永遠と設置する事が出来る。
もちろん俺自身の意思で閉ざす事も出来る。
俺の意思でいつでもワールドボックスからその世界に入る事が出来ていた。
しかし今、自分で作ったゲートの中に入ろうとして、巨大な足音が響く事に気付いた。
はっとなって後ろを振り返ると。
灰色の巨大なドラゴンがいた。
牛や馬などを10頭は融合させたら出来るくらいな大きさ。
一般的な木々を遥かに超えている。
灰色のドラゴンはこちらをじっと見ている。
「お前なのかペラー」
「ああ、ここが懐かしくてな」
「それは……」
「ああ、ゴッドドラゴンとしての記憶でな、ペラーというドラゴンはここが初めてだ」
「そうか」
「君は忘れているようだが、どこにでもモンスターはいる。そこにレイファを1人残すつもりか」
「ごめん、つい好奇心で後先考えてなかった」
「それは仕方のないことだ。レイファは僕に任せてくれ」
「レイファ、こいつはペラーで守ってくれるぞ」
レイファはくすりと鼻をこすりながら笑っていた。
「フレンダイサーにペラーだと言われなくても、私はこの子がペラーだってわかったよ」
「やはりか、レイファよ君は巨大になった僕を見ても平気そうにくすりと笑っていたね」
「ペラーの瞳がとても綺麗だったからよ、さてフレンダイサーは事情を説明するんでしょ」
「ああ、そのつもりだ。ペラー色々とレイファをよろしく頼む」
そう呟くと、俺は虹色に輝くワールドゲートをくぐった。
いつものぐねりとしてカオス的な世界観。
そこには城があって、大勢の人々が生活をしていた。
俺はゆっくりと一歩一歩歩き出した。
俺のイメージで自分自身を遥か空に飛翔する事にした。
城の真上に移動すると、俺の存在に気付いたのか、回復したばかりの約3000人近くの英雄たちと約2億5千万の人々が気づいた。
彼等からしたら俺の姿などとても小さくて見えないだろう。
しかしこの世界はぐねぐねとカオス的になっており、見る人見る人は巨大な俺に見えているだろう。
「みんな話を聞いてくれ」
雷のような声が辺りを支配した。
その男世界最弱!! だが呪われたおかげで最強になってしまった!? MIZAWA @MIZAWA
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