第2話 家から出たいんですがああああ

「落ち着け俺、今俺はレベルが上がっている。だが家具が1つ1つ消滅している。この現状はどうすればいいんだ。まずレイファが起きる前に家をでる、出ないとレイファに殺される。よーし慎重に歩いて」


 木材の床にはレイファが大事にしているカーペットがある。それをゆっくり踏んだ瞬間。


【おめでとうございます。レベルが18になりました。高級カーペットの耐久が3/4になりました】


「やばい、うごけねえええええええ、うごいたらカーペットの耐久がああああ、ここは家と言うダンジョンなんか」


 体がぐらりとよろけて、カーペットに右手をついた。次に左手をつき、次に頭をぶつけた。


【おめでとうございます。レベルが19→20→21になりました。高級カーペットの耐久が0になりましたので消滅します】


 木材の床から高級カーペットが消滅した。

 

「てか3連コンボかよおおおおおお」


 今俺はすごく嫌な予感がした。

 今家の基礎となる木材の床に倒れている状態。

 嫌な予感は的中した。

 ゆっくりと立ち上がると。


【おめでとうございます。レベルが22になりました。一軒家の耐久が99/100になりました】


「うそおおおん、これは何かの罰ゲームかよ、早く家から出ないと家消滅するぞ、いやまて、家が消滅したら風呂桶もトイレも高級カーペットも許してくれるかな、いや逆だ。こ・ろ・さ・れ・る・ぞぎゃあああああああ」


 今俺は停止している。

 動けばレベルが上がってしまう事は嬉しい。

 しかし物の耐久が減るのは嫌だ。

 てか消えた家具どこいったのよ。

 俺の心はいま異常にラッキーなのかアンラッキーなのか考えている。


「これはむずいな」


【動かないと神様が面白くないと言っているので2倍に耐久を減らしますという呪いを追加します】


「勝手に呪いを追加するなあああ、神様ああああ、あんた鬼ですかああああ」


「つまりこれは動かないといけないパターンで、家の外に出るのがミッションだな、てかなんで家にいるのにクエスト受けてる感じなんだよおおおお」


【神様はあと10秒以内に動かないと耐久の減りを3倍にするそうですという呪いをかけようか迷っています】


「か、神様、なぜ迷うんだ。お前神だろ、それ以前に2倍から3倍に増えてるけどねええええ、そこ俺気づくからねえええええ」


 落ち着け俺、まずは動かないと。


【おめでとうございます。レベルが23になりました。家の耐久が98/100になりました。神様はにこりとキラースマイルを送りました】


「神様のキラースマイルいらねえええええええ」


【罵詈雑言を吐いたので、本の神様は怒りました。なので耐久の減りを5倍にしました】


「ちょ、鬼だ。神じゃねええ、悪魔だあああああああ」


【神様は傷つきました。なので減りを10倍にします】


「ごめんなさい、神様あなたは世界一最強ないい人です」


【神様はにこりと笑いました】


 もう心の声でつぶやくしかない、神様あああああああなんかしてくれえええええええ。笑うだけだと俺は悲しいぞおおお。


【おめでとうございます。レベルが24になりました。家の耐久が88/100になりました】


「だめだ。神様は減りを10倍にしてやがる」


 てことは後9回動いたら家が消滅します。

 まず家自体の床や壁に触れなければ大丈夫だろう。

 まずはジャンプしてテーブルの上に着地する。

 そのテーブルは名工のドワーフがレイファの為に作ったものだ。

 

【おめでとうございます。レベルが25になりました。名工のテーブルの耐久が0になりました。名工のテーブルが消滅します】


 はえええええええええ、一発で0になったぞ、てか10倍の呪いまだだったのかよおおお。

 

 床に激突した。


【おめでとうございます。レベルが26になりました。家の耐久が78/100になりました】


「ふう、深呼吸だ。次は天井だ」


 ジャンプ力には自信がある。

 天井にがっちりとはめ込まれた照明がある。

 それは炎魔法を入れ物の中にいれてしばらく燃やし続けるというもの。


 ジャンプして証明をキャッチ。


【おめでとうございます。レベルが27になりました。照明の耐久が0になりました。照明が消滅します】


「ちょ消えるのはえええええええ」


 地面に激突。


【おめでとうございます。レベルが28になりました。家の耐久が68/100になりました】


「はぁはぁ、落ち着け、これは一体どういう状況だ。俺は家から出たいだけだぞ。だがここからどう頑張っても十歩以上なので確実に家の耐久が0になるな、うむ、レイファを幸せにしたい、だがこの家消えるぞ、どうすれいばいいんだあああああ」


【まぁがんばれ、きっといい事がある神様が助けてくれるさ】


「てめぇが神様だろうが」


【神様は一本取られたと笑っています】


「笑ってる場合じゃねーぞ、俺の明日がねーぞ、てか俺レイファのレベル超えてるぞおおおお」


 現在のレイファのレベルは25なのだ。

 そして現在のまぁすぐ上がるんだろうけど、俺のレベルは28だ。


「まずは状況分析だ。そうだ壁にかけられている棚を使おう、あの棚ならそう簡単には消滅しないはずだ」


 俺は棚に手を触れた。

 体を持ちあげて棚の上に座った。


【おめでとうございます。レベルが29になりました。壁棚の耐久が1/11になりました】


 あ、あぶねええええええ、あともう少しで0になる所だった。

 よーし次の棚にジャンプだ。それ以前に俺は自分の家で何をしているのだ。

 今更ながらに俺が周りから見たら意味不明な事をしているように見えるだろう。


 ジャンプすると。


【おめでとうございます。レベルが30になりました。壁棚の耐久が0になります。壁棚は消滅します】

【おめでとうございます。レベルが31になりました。壁棚の耐久が1/11になります】


 ふう、俺が移動するのと同時に踏み台にした壁棚が耐久力を失くして消滅した。

 俺は同じようにして次の壁棚の所までジャンプする。


【おめでとうございます。レベルが32になりました。壁棚の耐久が0になります。壁棚は消滅します】

【おめでとうございます。レベルが33になりました。壁棚の耐久が1/11になりました】


「ふう、ざっとここからジャンプして走ったら6歩くらいだな、これは命がけだな、まぁ外に出るだけなんだけどね」


 ジャンプした瞬間。


【おめでとうございます。レベルが34になりました。壁棚の耐久が0になりました。壁棚は消滅します】


【おめでとうございます。レベルが35になりました。家の耐久が58/100になりました】

【おめでとうございます。レベルが36になりました。家の耐久が48/100になりました】

【おめでとうございます。レベルが37になりました。家の耐久が38/100になりました】

【おめでとうございます。レベルが38になりました。家の耐久が28/100になりました】

【おめでとうございます。レベルが39になりました。家の耐久が18/100になりました】

【おめでとうございます。レベルが40になりました。家の耐久が8/100になりました】


 あと扉を開けて外に出るだけだ。

 それはきっと希望の光なのだろう。

 そのドアの向こうには闇が広がっているはずだ。

 しかし俺にとっては光そのものであった。

 扉に触れて開け放ち、さぁ外の世界へ……


【おめでとうございます。レベルが41になりました。家の耐久が0になりました。家が消滅します】


「神よ、それはないだろおお、扉は扉ではなく家と言うカテゴリわけなのかああああああ」


【神様はげらげら笑っています】


 ちなみに外に置いてあるベッドですやすや眠ってるのはレイファである。

 色々な小さい家具などが散らばる中、俺はゆっくりと歩きだした。


「てか地面だと大丈夫なんだな、地面にまで耐久があったら俺は死んでるな」


 その時だ。


「へっぷしいいいいいい」


 盛大なくしゃみとともに修羅が目覚めた。


「ふぁああ、あれなんで外にベッドあれ? どういう事?」


 ちなみに俺は風呂の後服を着ました。


 レイファはゆっくりと立ち上がり辺りを見回す。

 そして俺をじっくりと見つめる。

 彼女の瞳には鑑定スキルが発動されているのだろう。


「はへ? なんでレベル41になってるの? あと神の呪いってなに?」

「俺が聞きたいよ、この本が原因だ」


 俺は懐から呪いの本を取り出す。


「あ、それダンジョンで拾ったからフレンダイサー君にあげようかと思ってね」

「そうでしたか、全てはあなたが元凶でしたか」


「それで私は聞いてるの、なんで家がなくなってるの? それに高級カーペットも」

「さすがそこは見逃さなかったですか」


「さて、吐いてもらおうかおんどれやあああああ」

「ぎゃあああああああ」


 その日闇色の空に1人の男性の悲しい悲鳴が響き渡ったそうだ。

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