第3話 全員容疑者

あれから、俺たちはお互い落ち着きを取り戻し、【矢巾 悠一】さんが死んだ事を皆さんに報告した。それぞれ反応はそれぞれだったが皆驚いていた。

そして、皆ギスギスした雰囲気となってしまった、誰が犯人かわからない上、その“犯人”がこの館内にいるとなると……

当然、皆疑心暗鬼となる。

容疑者はぶっちゃけ自分から見て、全員。俺の場合“瞬”を除くだが他の視点から見たら全員になるだろう…この場にいる全員、俺達を除くだがお互いのことをよく知らないはず……

なんせ昨日会ったばっかの初対面だからな……

それと、雷のせいか電波も繋がらず警察も呼べない状況、誰が取り乱してもおかしくない。


俺は自分達の身を守る為にも、“真相”を知る為にもこの奇妙な事件の調査を始めた。


まず、第一にどうやって死んだんだ?この人は?

巴さんに最初に部屋に来た時の状況を教えてもらうと……確か、一階の【中庭】に部屋から移動しようとしてドアを開け廊下を通ったら、矢巾さんのいる部屋のドアが開いていて…

開いてるのもなんか、プライバシーが無いようで可哀想だからドアを閉めて上げようと思いドアに近づいたら、偶然部屋の中が見えて……そしたら矢巾さんが倒れていて……

で、最初は寝てるのかな?と思って揺さぶる為に身体を触ったら、冷たくて……死んでいる通ったら怖くて叫んでしまったらしい。そして、その叫び声を聞いて俺達が来たと……

確かに、人が死んでいたら叫んでしまうのはしょうがない。

俺だって最初に見ていたら叫んでいたかも知れない……

外傷がある訳では無い……と言うことは【毒】か?

確かに……殺せるような毒の花はあったが……問題はどうやって花を摂取させたか……普通は花はたべない、ましてや食用でも無いものを……いったいどうやって……

俺達一旦部屋に戻ることにした。

「なぁ、陽太やっぱ、何か変じゃないか?」

「なにが?」

巴さんがいた矢巾さんの部屋にはおかしな所はなかった。

いったい、何がおかしいんだ?

「分かってねぇな、陽太。俺たちの階には花瓶があった。

だか、巴さん達がいた三階には、花瓶がない……

それだけじゃない、俺さアホだけどさぁ〜、記憶力はいいじゃん。」

「まぁ、確かに良いな」

確かに、こいつの瞬間記憶力は凄く少し特殊だ。

「さっきここに来る時見たんだけど、俺達の部屋の階の花瓶少しだけど動いてんの。」

「マジか?」

「あぁ、そんなに思うなら実際に行くか?探偵だって現場に足を運ぶし」

「そうだな…」

俺達は廊下にでて瞬の言っていた【動いた花瓶】の所に行くことにした。

「おい、瞬いったいどれだ?俺はわからねぇぜ?」

「んとなー……確か…あっコレだコレ!」


その花瓶は廊下の奥の方にあった【スミレ】だった。

「ほら、ココ花瓶前ひび入ってなかったのに入ってる。

それにこの花瓶だけ水が空っぽだ。

コレ、決定的な証拠だぞ!」

花瓶には、よく見るとうっすらひびが入っていて、水が空っぽ……凶器は、花瓶の水か?確か、昔に誤って鈴蘭の入った花瓶の水を飲んで、死んでしまった人がいるしな……

そうだとしたら犯人は花について詳しい最中さんか?

いや、犯人だとしたらわざわざ、この花たちがどんな花か教えてくれないだろうし……

「確かにそうだ…な?」

花瓶を動かしながら、話を聞き考えていた俺は花瓶の下にくっついていた【桜の花びら】に目がついた。

「何で、こんな所に桜の花びらが……」

「……犯人の物じゃない?

もしかしたら、ココに来る前犯人が“あの”桜の木によったのかも知れない。」

「そうだな、犯人も多分故意にやった訳ではないだろうし……自らわざわざ花びらを花瓶につけると言うことはかなりリスキーな筈だ。」

つまり、“ココ”に来る前中庭の桜の木に行った人が犯人……

という事。

それに気づいた俺達は中庭に移動した。

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