第2話 集められた人たち
中に入るととても広い所だった。
壁には絵が飾られており、中央には大きなテーブルやソファーがある。……ふかふかな感じがする。高そう……
そんな事を考えながら、館の中を物色していると……ドアから一人の女性が出てきた。
とても見惚れる美人だ……
色素の薄い肌、真っ黒で艶のある長い髪の毛、長いまつ毛…
彼女はとても神秘的な人で……
僕の心と視線はすぐ奪われてしまった。
“が”
後ろから聞こえた音によって、視線が移った。
ガチャ
突然、ドアが勝手に閉まり鍵がかかってしまった。
「おい、どうなってんだ!玄関ドアあかねぇぞ!?」
「どう言う仕組み?マジで」
俺達はいたって普通の高校だ。
分かるはずがない……
前を向いて見るとさっきまでいた女の人は消えていた。
いったいどこに……
仕方なく中に入って行くと人がいた…
一人じゃなく複数人いる。
「お前らもかよ……」
中年の男が俺たちの姿を見るとすぐさまに言った。
「は?」
“お前らとかもよ”?何言ってんだこのオッさん?
全然話の意図が見えない。
「あの、すみません、どなたか館の主人の方はいませんか?今さっき、雨が降り出して……雨宿りしたいのですが…」
「……‥館の主人はいないわよ……私達は逆に呼び出されたのよ…この手紙でね」
さっきショートカットの女の人の手には手紙握られており他の人も持っている。周りの人も次々手紙を取り出した。どうやら、俺たち以外全員持ってるようだ。
「じゃあ、鍵を掛けたのも館の主人か!」
「鍵をかけたぁ?何言ってんだ?お前ら」
「俺達二人がこの館に入ったら鍵が急に閉まってねー
そうだよな、陽太」
「あぁ、そうだ」
「………これ以上待ってられない、帰ります。」
ちょ!話聞いて無いのか?鍵がかかっているって今!
眼鏡をかけた女の人は玄関のドアに近づいてドアノブを回すが……やはり鍵をは開かない。
「……二人がかりでやりましょう」
女の人は男の人を呼び手伝ってもらうが……
もう一度やるがやっぱりドアは開かない………
「俺達……閉じ込められたのか?」
「最悪だ…‥今日はネミたんの生放送があるのに!!!」
いや違うだろ!瞬今はそれじゃないだろ!!
「それどころじゃねぇだろ!!!」
ドンッ
男は分かりやすくイラつきテーブルを叩く。
「まぁ、まぁ落ち着いて!自己紹介をしましょう!
こうして集まったのも何か運命かも知れませんし……」
「あ?だったら先にねぇちゃんから言えや」
「そうですね。私の名前は【笠木 莉音】です。
……ほら君次ですよ!」
えっ俺?
美人さん……莉音さんは俺に指を挿し指名してきた。
「えっと……【青葉 陽太】です。職業?は学生で…
よろしくお願いします?」
「俺は【真木 俊介】
高校三年生よろしくな!!」
「【友田 雛】職業は考古学者よ。」
「チッ【矢巾 悠一】……大工だ。」
「僕は【柳 和樹】警察だよ。」
「【巴 紬】新聞記者やってます。」
「【最中 一郎】農家です。」
「それよりどうしますか?」
そう今、問題なのは今の現状をどうするかだ。
黒髪美人……莉音さんが喋りだした。
「今日は雨降っていましここで雨宿りしてて帰っていけばいいんじゃないですか?幸い、電気も通っているぽいですし
もし、明日の朝になっても出れなかったら警察に電話すれば良いですし……」
「確かにそれはいいですね!じゃあ、部屋割りをしましょう!」
「それで、さっき見て来たんですけど部屋は六つしかなくて……ジャンケンで負けた2人が同室でいいですよね?」
「ちょっと待って……莉音さん……だったかしら?ココには女性が何人いると思いで?」
「え?」
「こんな、男だらけの所に一緒に泊まったら危ないじゃない、ましてや同じ部屋とか……身の安全として女性は一人一部屋にしましょう?」
友田さん……そんなに俺ら危なくないだが……
「まっ、まぁ良いですよ、じゃあ、女性は一部屋、僕達男性陣はどこか二人一部屋でいいですよね?」
ほら、柳さんだって、苦笑しながらいっている……
「それでは……最初はグー、ジャンケン…ポン!!」
それから、部屋割りは簡単に決まり、俺たちは見事ジャンケンで負けて2階の部屋で寝る事となった。そして俺達は2階の部屋に行く筈だったんだが……
「なぁ瞬」
「俺も言いたい事分かるぜ陽太」
「「ココどこだ」」
そう、2階に行ったつもりで移動していた俺達は2階と正反対の位置にある【中庭】に来てしまったらしい。
中庭の中央には、大きな桜の木があり、桜が満開に咲いている。
「綺麗だな……」
「ココならお花見できそうだな!」
確かに、こんな状況でもなく、家の主人に許可を得ていたら
ココでお花見を是非ともしたい。そう考えて桜を見ていたら桜の木に誰かいるのに気づいた。
桜の木には花壇があるようで一人の女性が水をあげていた。莉音さんだ……
「あれ、莉音さんも来たんですか?」
「うん、何もすることがないからね」
まぁ、確かに、人の家暇かも知れないな
「そうですか…あのすみません俺達2階に行きたいですけど階段ってドコにありますか?」
「それなら……さっき地図を見たら確かあっちだったはず」
莉音さんが指差す方は俺達がさっき通ってきた所だった。
……俺達逆走していたのか……
「莉音さん、ありがとうございます」
「いえいえ、困った時はお互い様でしょ?」
「本当、マジで優しいな!全てが美人じゃねぇか!
そう思うよな、陽太!」
優しいくて、美人って非の打ち所がないな……
「私なんか美人じゃないですよ。」
照れているのか、少し顔が赤い……
可愛い……
それから俺達は莉音さんに礼を告げ、二階に上がって行った。
二階の階段の所には莉音さんが言っていた通り“地図”があった。2ヶ所にもしかしたら地図があるのかも知れない。
「えっと、この館にある部屋は……」
「うわっ、陽太、すげぇぞココ、デッカい図書室もある!」
そう言って指差したのは一階の右側にある図書室だった。
その近くにも、食事室、ゲーム室、お風呂なんて2ヶ所ある。
ココには色々な部屋があんな。いったい、主人はいったいどんな人だったんだろう……
色々驚きながら、地図を見た後俺たちは階段を登った。
そして、2階にようやくついた。2階には先に最中さんがいた。2階の部屋の前の廊下にはジュータンが敷いてある……高いんだろうな。部屋の前には花瓶が机の上に置いてある。花瓶の中には水がいっぱい入っている。廊下の奥まである…
いったい何の花なんだろう。そう、俺が頭を悩ませていると
隣に来ていた最中さんが教えてくれた。
「手前から、デルフィニュウム、こっちは鈴蘭とスイートピー、それにスミレ、色々なお花があるね。」
「凄いですね!全部名前分かるんですか?」
「伊達に農家やってないしね。」
そう言うと、最中さんは照れたように頬をかきながら言った。
「でもこの館の主人の趣味変わってんねー。」
「え?」
一見どれも綺麗なお花に見えるけど?そんなに趣味変わってんのか?
「だってこれ、全部【毒】のある花だよ。」
「え!これ全部毒あんの!?」
「あぁ、お店で売っている一般的な物にはそんなないと思うけど……これの場合、茎や葉っぱ、色んな所に毒があるよ。」
「確かに……変わっていますね。」
むしろ……ここまでくると変わっているですまなくなるような?
「あっ、二人とも僕は寝るからまた明日ね。
おやすみー。」
最中さんはドアの前に立ち開けながら挨拶してくれた。
「「はい!」」
どうやら最中さんの部屋は俺達の隣みたいだ。
俺たちの部屋は二人で一つ……
なんせ、じゃんけんで負けたからしょうがないが………
部屋は一人で使うにはそこそこ広いが……
「男、二人って部屋狭いなw」
「そうだな、ガタイの良い男二人ってな」
部屋にはベット、本棚、引き出し付き机が並んである……どれも高そうだ……その後俺達は二人でベットで寝た……最初は昔のようにお泊まり会をした感じでワクワクしていたが……
何故だろう……心なしか嫌な予感がする……瞬もあった通り何故か、変な感じがする……
そう考えていたが流石の俺でも眠気には勝てなく、いつの間にか寝てしまった。
「きゃーーーー!」
俺たちを眠りから覚ましたのは……女性の声……巴さんの叫び声だ!
僕達は巴さんの叫び声が聞こえた三階の部屋に向かった。
3階の部屋は2階と違い花瓶がない。
その三階の部屋は三つあり……そのうちの一つが開いている…
叫び声はここからか!
「巴さん!何……が」
「ぁ……あ、死んでる矢巾さんが……死んで……」
部屋に入ると……矢巾さんが……死んでいた……
見た感じ外傷は無さそうだが脈を測ってみると……
脈は止まっており……死んでいる。
肌の冷たさからして、死んでからかなり経っていると思う…
「巴さん!警察に電話を!」
「……」
「巴さん!!」
「……っええ!」
プルルルル……プルルルル
「だめよ…繋がらない…電波が圏外になっているわ!」
嘘だろ……と言う事は警察を呼べない……
オマケにこの館は謎に鍵が掛かっている……
助けを呼ぶ事をできない……絶体絶命な状況。
そして、この奇妙な密室館殺人事件の謎が幕を開けた……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます