春雨
鬼灯
第1話 あの日…
「ハックシュン」
この時期の俺の朝は、だいたい“くしゃみ”から始まる。
自身が花粉症のせいかこの季節は辛い。
【春】……この季節はあまり好きでは無い季節だ……
ただ単に花粉症と言うだけではあまり好きでは無くならないのだが…… 今から一年前、俺にとっては人生で一番刺激的な出会いで、とても甘い気持ちになれて……そして人間と言う者の本質を知ってしまった季節である。俺はこの事を一生忘れられないだろう。
そんな事になったのはいつもと違う事をした訳ではない。ただ少し些細なことだった……それだけだった。
あの日と同じように満開の桜が咲き誇り、桜の雨が降るそのせいか、余計にあの日の事を鮮明に思い出す。
【4月9日】
「おーい、陽太花見行こうぜ!」
「ああ、いいぞ、今年もいつものところか?」
毎年恒例の場所で幼馴染とお花見、俺はこれがとてもたのしみだった。
「そうだ、サンドイッチとブルーシートと水筒を持って
トンネル集合な!」
「いつ集合日だ?」
「明後日!」
明後日か……4月9日か……
「急だなぁ、分かった、予定も特に無いし大丈夫だ。」
「陽太の作るサンドイッチ楽しみにしてんぜ!」
「はいはい、じゃまた」
「おう!」
本当、瞬はサンドイッチ好きだな‥…
今年は何サンドイッチ作ろうかな?
ハムサンド?卵サンド?ツナも捨てがたい……
まぁ、アイツならなんでも喜んで食うだろう。
そして、次の日の夜俺は弁当を仕込んだ。
作り終わる頃には、日が昇っており急いで支度して、瞬と待ち合わせの所に向かった。
そして今、ついさっきまでお花見をしていたがあいにく、突然雨が降ってきた。最初はトンネルで雨宿りをしようと思っていたが雨が少しずつ強くなった為、どこか近くに雨宿りをしようとトンネルの奥へと歩き出した。
奥に進むと古い館があった。とても大きい、それに作りは立派だが、壁の状態から見て、かなり昔に建てられたようだ……大正時代に建てられたものだろうか。
「すみませーん、どなたかいらっしゃいませんかー?
雨がとてもつよいので雨宿りをしたいのですが……」
返事は来ない……いないのか?
コンコン
俺たちはドアにノックをした。
“が”
数分まったが、残念ながらドアは開かなかった……
「いないのか……」
とても、残念だ…いないのなら別な所を……
そう考えていた時
ガチャッ
瞬がドアノブを回していた。
「陽太!鍵開いてんぞ!!」
「えっ……ってか瞬人の家のドアノブ何勝手にいじってんだ!!」
「あー、いやすまん、陽太。なんか……引っかかるなぁって、思っちゃって……テヘッ」
……コイツの何かしらの感は昔から当たるから何も言えない。
ビシャーン
雷鳴が空に鳴り響いた……
かなり今近くだったような……
「雷!やばいじゃん近くだし!生命の危機だし……一旦お邪魔させて頂いて、本人がいるか探そう!いたらすぐ言えるし……」
「はぁーー……ったく、今回だけだぞ…」
確かに、今の状況は危ない、雷も鳴り出しているし……雨も大粒で威力がとても強そうだ……。
自分達が死んだら元も子もないからな……
そう思い、俺たちは、申し訳なく思いながら館へと入って行った。
今……今思えばこの時から復讐劇は始まっていたんだと俺は思う。
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