第3話 緊急手術

とにかく痛いので早く麻酔を打ってほしくてずっとお願いしていましたが、CTやレントゲンを先に撮る必要があるらしく、なんとか耐え切り、ようやく検査が終わりました。

先生が到着して、すぐ神経ブロックをして下さいました。

これは脇の辺りから針を刺し、腕の神経一本一本に薬を注入して完全に麻痺させる麻酔法の一つです。


これを打ってもらってすぐ楽になりました。


先生はその時あった仕事を全部放り投げて来てくれたそうです。

つまりそれだけの重症だったということです。


父親と婚約者(現妻)が駆けつけてくれて、手術の準備が終わるまで暫く話しました。


来てくれてありがとう、仕事あるのにごめんね。

正直右手は助からないと思うし、切断の覚悟もできてるし、心配いらないからと伝えました。


搬送約3時間後に手術室に向かいました。

人生初の全身麻酔でしたが、ばっちり掛かりました。

約5時間の緊急手術の後、目を覚ますと意外と意識は鮮明ですぐ会話も聞こえましたし、話すことができました。


私の怪我名は、手根骨複雑骨折、脱臼、デグロービング損傷と言うものでした。

手の甲から手首までのほとんどの骨が粉々に砕け、それに伴い指が脱臼し、手の皮膚が手袋を脱ぐような感じで裂けて捲り上がり(デグロービング)、親指と人差し指の間の筋肉は絞り出されて無くなってしまいました。


緊急手術ではとりあえず、腱と神経を繋ぎ、骨の代わりにワイヤーを数本入れて、破裂してる部分を縫い合わせたようです。(2回目の手術で足りない皮膚を人工皮膚で補いました)


右手にはレナシスという機械に繋がる管が繋がっていました。

これは陰圧閉鎖療法と言って患部環境を被覆し管理された負圧を掛けることによって、慢性の局所創傷の治療を促進させる医療技術なのですが、この技術が確立されるまではほとんどの場合切断を余儀なくされていたそうです。


ICUに入りましたが全身麻酔の影響で1日は飲食出来ないというところまでは耐えられましたが、携帯が触れないのはキツイのですぐ一般病棟に移りたいと訴え続けて、2日後には移してもらえるようになりました。


麻酔が段々切れて来ると痛みが出だしました。

痛みを紛らわそうと頬を全力で何度も叩くのですが全然痛くないのです。

そんなことでは紛れない、もう何がどう痛いのか分からないくらいのとてつもない痛みだったのです。


また先生に神経ブロック注射を打ってもらい落ち着きました。

ブロック注射はとても難しい技術なので先生しか打つことが出来ません。


なんとか2日乗り越え一般病棟に移ることになりました。

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ある日突然利き手の右手が不自由になったお話 Sakitty @sakitty0223

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