第2話ジョブチェンジはインディー◯
僕の名前はシオン。一応冒険者さ。冒険者とは魔物討伐から採取、お悩み相談、はたまた不倫調査をする何でも屋だよ。
僕はその中でも幅広く活動してきた方だと思う。だって、新人指導とか受け付け嬢代理とかしてきたんだ、普通こんなのしないし任せられない。でも、なんかギルドからやたら信頼されていて勇者パーティーのメンバー募集に推薦されたりした。
ベテランと言うほど長い経歴を持つわけでもないのだけどどんな仕事も丁寧にこなしてくれるからと言うことらしい。嬉しい(照)
でも、僕は勇者パーティーを追い出された孤独な迷える子羊だ。……どうしようマジで困った。
貯金はあるし、冒険者としての知識があるので当分は困らないだろうけど、いつまでも冒険者はやれない。歳を取れば引退するしかないから。これはいいきっかけかもしれない。冒険者やめて、別の道を探すべきかな?
そんなことを考えながら僕は勇者様たちがいる町の隣りウェルザーへ向かう。
☆ ☆ ☆
ウェルザーは海に面した漁業盛んな街。ここならきっと見つかるはず!
とりあえず転職ギルドイ◯ディードへ向かうことにしよう。
転職ギルドは毎日色んな人が新しい職を求めてやって来る所。特に冒険者。冒険者は不安定な職だ。クエストを受けて、内容の条件を達成してお金をもらう。命懸けのものから低賃金での雑用など様々だけど基本的に割に合わないものが多い。なので、なったはいいけど続かないという人が多かったりする。
「あのすいません、転職希望なんですけど」
「はい、それではこちらの書類に記入ください」
綺麗な受け付けさんに紙とペンを渡される。
前職、スキル、希望する職種などを書く。
「はい、どうぞ」
「それではあちらにお掛けになってお待ち下さい」
「分かりました」
受け付け嬢の指示に従い席で待つことにする。
☆ ☆ ☆
「シザークラブ漁……」
僕は目の前が真っ暗になるような感覚に襲われた。なにせ、紹介出来るのがブラックオブブラックのクラブ漁だったから。
シザークラブは美味しく、貴族様に人気の食材だが案外強い。冒険者ギルドではなき専用の職として存在するのはそういうこと。これするぐらいなら薬草むしってるほうがマシと言われていたりする。まぁ、給料はいいんだけね。
「あの、他になかったんですか?」
「いえー、それがシオン様に紹介できるのはこれくらいでして……」
受け付け嬢が面倒臭そうに言う。適当にやってるなこの人。こういう人は割と存在する。受け付け嬢なんて能力よりも貌を重視されて採用される。そのため、雑な仕事の人を僕は受け付けジョーと呼んでいる。
「もういいです。 他探します」
「そうですか、頑張ってくださいねー」
時間の無駄だったなぁー。
☆ ☆ ☆
結局、あの後色々行ってみたが、門前払いだった。なので仕方なく、冒険者ギルドのほうへ足を運ぶことにした。
扉を開けば人相の悪い人たちが多いな。冒険者ギルドは街によって雰囲気がかなり変わる。若者が多いチャラい感じだったり、ここのように犯罪者予備軍収容所みたいな感じだったり、田舎の方だと、定年間近の老人たちのほのぼの終末ライフなど色々ある。
とりあえず、周りに視線を配り1番偉そうな人の元へ行く。
「すいません、今日からこっちで依頼受けようと思います、シオンです。 よろしくお願いします」
「おう、坊主分かってんじゃねーかよ。 若いのに偉いな」
僕よりもデカい熊みたいな体格をした冒険者。装備品といい、机の上の料理といいかなり稼げてる証拠だ。
「へへっ いやー、自分なんてまだですよ。 とりあえず、これで一杯飲んでください」
大銅貨を机に置く。
「よし、合格だ。 調子に乗らないなら勝手にやれ」
「ありがとうございます」
頭を下げてこの場から立ち去る。今日の所はこの辺で大丈夫かな。
冒険者は上下関係がある。特にその場で長いことやっている冒険者には優先的に依頼が回ってきたりする。そういった人たちに挨拶をするのは必須なのだ。しなければ、虐められる。
冒険者は自由とはほど遠い職業ということ。
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