四季
白詰えめ
いつまでも
「美しい景色を眺めていたい」と君はつぶやいた。言葉は心地よい春の風にさらわれて花のように広がった。
暖かい日差しに目をかすめて。僕は君の手をそっと掴んだ。握り返した君はうれしそうに駆け出して、いつしか夏になった。照りつける空と爽やかな海が僕らを夏へ誘うのだ。早く来い、早く来い。そう海が波を立て続ける。僕の手を掴んだ君が笑った。僕は駆け出し砂浜を君と歩く。冷たい塩水に足を止めて、僕たちは目を瞑る。
あたりがオレンジ色に変わってゆく。寂しそうな顔をする海は紅葉を運んできた。君はそれをみて「紅葉の門をくぐりに行こう」とまた駆け出す。紅葉の絨毯が僕らを迎える。軽やかなリズムを奏でながら葉が落ちるのを見守った。
気づくと空からは白い雪が降ってきた。君の頭に積もって、君は頭を振る。僕の顔についたそれをみて君はまた笑うのだった。
四季 白詰えめ @Rion_ame
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