第4話 冬休みの姫と彦
_____機関車は宇宙へと進んでゆく。
「いやー、にしても本っ当にこんな経験できるなんて」
「ホントのほんとに夢みたいですねー。」
一車がそう呟くと、車掌ちゃんは皆に案内をする。
「着きましたぁ~。」
「ここが天の川に最も近い星ですぅ。」
そう言うと、汽車の扉が開く。
「天の川といえば、織姫彦星のはなしですがぁ」
「今、おふたりは特別にくっついてる夜ですぅ!」
その一言に、一同は驚く。
「あ!……七夕にしか……会えなかった……ハズ?」
「そうですよねー。それともこいつらにも冬休みとかあるわけ?」
「ないか。」
そう語っていると、車掌ちゃんは自信満々に説明をする。
「一車さん、大体正解ですぅ!」
「ここの織姫さんと彦星さんは、今冬休みってことで僅かな期間ではありますがくっついているのですぅ!」
_____
「ささ、それよりも」
「間近で見るミルキーウェイ、格が違うぞ?」
そう言うと、リンシャは汽車から降り、皆を誘う。
「この星、滅多にここまでこない……公転が非常に長い星なので」
「数百年に一度、この幻想的なミルキーウェイが見れる、ということさ!」
「もしかして、コレがあるから誘ったんですー?」
「
「この星を見せたかったのと、妹を助けてくれたお礼さ!」
一車はなるほど?という表情を浮かべ、記念撮影をする。
_____
「まじでさ」
「あん時車掌を助けてくれ良かったよ。」
そう言うと、一車は感傷に浸りながら語り出す。
「受験の緊張拗らせてさ」
「メンタルグチャグチャになって」
「そして、何かと不自由な病棟で薬飲んでボケーッとしてさ」
「車掌さん、そんな惰性と惰眠の生活から私を助けてくれてありがとさん。」
そこには、一車らしからぬ笑みと涙を浮かべていた。
「ははは、俺も嬉しいよ」
「いつも病棟の個室から出てこなかった一車をここまで元気づけてくれたもん。」
「あたちサマさ」
「いつおほしさまになるか、わからないまま、いきていてね」
「このきしゃにのった。これいじょうのしあわせはないわ!」
「……俺も、さ」
「事故で下半身不随になって」
「好きだったバスケもできなくなって」
「そんな俺を、救ってくれた感じがするよ……。」
_____
「わわっ、皆さん大変なんですねぇ~……。」
「それはそうだろ。」
「病棟に居る、ってことはなんかしら抱えてるって訳だ。」
_____
一同はミルキーウェイを見ながら、感動と感傷に浸る。
もしかしたら、ここが一番天国に近い星で、夢なのかもしれない。
患者たちはそんな感傷に浸っていた。
_____
「わわっ、皆さん生きてくださいぉ~」
「ママも待っていますし、その時にサプライズを仕込んでるんですからぁ~。」
「ねぇデジール」
「ソレ、言っちゃったらサプライズの意味なくなるぞ!」
「ううぅ、大失態ですぅ……」
_____次はどんな星に辿り着けるんだろう?
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